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イベントレポート

国産濃厚飼料シンポジウム~子実用トウモロコシの生産・利用の拡大に向けて~


一方、事例紹介では、作業工程が秋小麦25、春小麦16、大豆18に対して、子実トウモロコシが13と圧倒的に少ないこと、その結果として作業時間も、秋小麦3.6時間、大豆2.1時間に対して、子実トウモロコシは1.6時間に抑えられた事例、新たな圃場を取得してから土壌改良する間の作物として子実トウモロコシを40ha弱作付けするワンオペ経営、貯蔵コンテナが不足する場合には、ハードコンテナを導入して対応している大規模法人経営での取り組みなど3つの農場を取り上げた。府県に比べて、区画面積が大きい点、大型機械の活用、機械のメンテナンスや自前で建物を建てるなどの工夫がコスト低減につながる。
また、畜産品の一例として、よつば乳業(株)が消費者の声に応えて、NON-GMOの飼料だけでなく、放牧酪農による最高品質の牛乳を製造している。酪農に限っても、全国各地でNON-GMO飼料を試用した生乳による牛乳生産事例があり、輸入のNON-GMO飼料が国産飼料に切り替わることを期待する。
なお、講演の最後に荒木氏は、政策支援の増強と地域格差の是正、収穫機や乾燥・貯蔵・加工施設等への補助の拡充、畜産農家への流通体制や最終商品への付加価値の転嫁など、これまで指摘されてきた課題と引き続き向き合う必要性を訴えた。

政策立案を担う農水省は現場との温度差を隠せず

続いて、国産濃厚飼料をめぐる情勢について農林水産省生産局畜産部飼料課の課長補佐の谷口康子氏が報告した。子実用トウモロコシ生産に対しては、農地利用の政策と畜産の政策が連携して後押しする農水省の姿勢をまず示した。
国内の飼料生産の現状は、濃厚飼料の自給率が過去10年で11~14%に留まり飼料の国産化が進んでいない実態と、飼料用米および稲発酵飼料の作付面積が伸び悩んでいることが図示された。一方で濃厚飼料向けトウモロコシは、19年産の作付面積が約610haで、そのうちの420haが子実用(北海道産は330ha)に及び、20年産の面積は集計中ではあるものの北海道を中心に生産面積等が拡大しているという。
しかし、生産と畜産への利用に話題が及ぶと、イアコーンサイレージの情報を紹介するなど、作付面積で既に上回る子実用のデータを農水省が把握しきれていない実情が露呈した。個々の生産者が、国や都道府県より先行して取り組んできた経緯があり、飼料生産現場との温度差を隠せない場面が見られた。

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