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こう言ってジャスティンは胸を張った。中国のドローンメーカーといえば、DJIを思い浮かべる人が多いだろうが、農業の薬剤散布用に限ってみると、XAGが販売台数と散布面積でトップだ。中国農業ではDJIと激しく競り合う。農業Weekでのスピーチから1年半が経ち、XAGの散布実績は42の国と地域、4000万haまで広がった。20年11月にはソフトバンクグループのファンドなどからおよそ190億円を調達し、中国のアグリテック企業としては最高の調達額を記録した。
バイエル、コルテバと提携
XAGは、広東省の省都である広州市に本社を置くスタートアップだ。07年にドローンメーカーとして創業し、後に農業用に特化した開発に舵を切る。その特徴は専門性と技術力だ。社員の6割を技術者が占め、メーカーながら、中国ではあえて薬剤散布のサービスも行なってきた。実践を技術開発に結びつけるのが狙いだ。新疆ウイグル自治区をはじめとする北の乾燥地帯から南の水田地帯に至るまで散布実績を持つ。
同社の関係者は、トップも含め、よく「うちのドローンは安くない」と言い切る。価格に見合う働きをするという自信が見て取れる。早くから自動航行を目指して開発してきたため、産業用ドローンの中で、自動航行の精度が最も高いと自認する。創業が07年(DJIは06年)と早く、かつ農業に的を絞って研究開発を進めてきたからだ。
技術力の高さを象徴するのが液剤と粒剤の散布装置だろう。液剤の場合、散布量だけではなく、噴霧粒子の大きさまで調整できる。実際の病虫害の状況を踏まえ、散布量を調整する可変散布が可能だ。液剤用、粒剤用ともに、高速のジェット気流を使い、指定した幅に均等にまけるという。薬剤散布だけではなく、播種にまで対応した。
16年には初の海外拠点として、兵庫県に日本支社(現・XAG JAPAN)を置く。その後、海外拠点は増え続け、いまやXAGの掲げる使命は「世界農業の生産効率の向上」だ。先進国だけではなく、開発途上国にも積極的に乗り込む。販売台数は20年11月末時点で6万6000台に及ぶ。
独の農薬大手・バイエルと18年に提携を結んだことは、シェアを伸ばすうえで一つのステップになった。日本国内で見ても、バイエルの代理店と提携を結ぶことで、販売網が広がる効果があった。農薬大手のコルテバ・アグリサイエンスとも提携している。
ドローンメーカーからプラットフォーマーへ
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山口亮子 ヤマグチリョウコ
(株)ウロ
代表取締役
ジャーナリスト。2010年、京都大文卒。13年、中国・北京大歴史学系大学院修了。時事通信社を経てフリーになり、農業、地域活性化、中国について執筆。⑭ウロ代表取締役。農業や地域のPRを目的としたパンフレットや広告、雑誌などの企画・制作のほか、ツアーやセミナーの運営を手がける。著書に『図解即戦力 農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(共著)がある。
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