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江刺の稲

イスラエルを合わせ鏡として日本の今を再考してほしい

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第298回 2021年04月23日

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「イスラエルで我々は、ほんの僅かな人々と出会い、その農業と社会を垣間見たに過ぎない。それでも、彼の国の人々が持つ農業技術や農業経営に取り組む姿には、彼らの自然観や国家観あるいはビジネス観にもつながる一つの原理が貫かれていることに気付かされた。それは日本の対局にあるといってもよい国と人々と農業の姿だった。そして、その旅行は我々に、改めて日本人や日本という国そして日本農業を見つめ直させる“合わせ鏡”を与えてくれる体験でもあった。
単一民族の島国に住み、豊かな水と自然の恵みに抱かれた風土を持つ日本。その国の国民の内、国や家族を守るために自ら銃を持つ者がどれだけいるのだろうか。そこまで言わずとも、どれだけの国民が明確な国家意識や自らのアイデンティティや誇りを語れるのだろうか。さらに、我々日本人そして農業界やその関連業界では、いまだに開発途上国か社会主義国家を思わせる『官の支配』に甘え、外の世界の現実を直視することも自らを鍛え戦う勇気も持とうとせず、ただ城壁を高くして『隔離され支配される安心』の中で明日のない居場所探しをしようとしているとは言えまいか。
それに対して、そもそも人がそこに生きることを拒んでいるかのような厳しいイスラエルの風土や自然。ユダヤ教徒の自決による建国そして生存と国家の存亡を賭けた国民自身の戦いによって守り抜いてきた『平和』。しかも、自らの生存を脅かす異教徒に囲まれながら厳しい対立関係の中でタフに相手の存在すら認めてしまうイスラエル人の強さを見せられると、ひ弱な日本と日本人の姿が一層際だって見えてくるのだった。」
宿泊地のティベリアではすぐ傍で爆弾テロがあったのも知らず飲み屋でワイン片手に気勢を上げていたりした我々ではあったが、僕自身を含めてツアー参加者たちに与えた感銘は深かった。中村さん、土下さんにもご寄稿いただいている内容は、きっと今回のご紹介をもう一歩深めてくれると思う。

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