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「ルポ」に登場したあの人はいま

(有)興里 代表 中村泰明(和歌山県岩出市)


コロナ禍になってからは、入国できたり、できなかったり、政府の方針の混乱に戸惑っている状況である。ベトナムでPCR検査をし、空港からは車で迎え、2週間の隔離を徹底し、1人1部屋にしてiPadを供与している。みらい事業協同組合は自前でリモート講習をしている。コロナ感染に対して安全対策と教育は確実になされている。一番大きな問題は、ベトナム人同士のSNSが頻繁に行なわれていることである。フェイスブックのフォロワーでも500人から2000人もある。そこで給与条件などが話し合われ、ベトナム人がベトナム人を騙すような斡旋行為がある。高い時給を提示して足抜きさせることで、紹介料を取ったりする。それは入管法上問題がありビザがなくなる。そして、足抜きさせたベトナム人を提示時間給以下で働かせる。なぜならビザがなく違法滞在となって立場が弱くなるからだ。このようなトラブルに巻き込まれないように、きちんとしたケアが必要である。当初から、ベトナムの人に仕事を身につけていただくことを心がけ、「日本が第2のふるさとになってほしい」と思って取り組んでいる。

海外の事例を見て、これからはスペイン

前回のレポートの時には、イスラエルに進んだ農業があると言っていたが、同国の資材は別の日本の代理店に譲った。そして、現在は、イスラエルつながりで、スペインの資材メーカーの代理店をしている。イスラエルの技術は発想的に優れているが、実際の生産現場では普通の技術になりつつある。現在のユーロの中では、スペインの農業生産の規模が大きく、大規模農業の技術が多く集積され始めている。今後の日本の農業が、団塊の世代の集団離農によって、大規模化する可能性があるので、積極的にスペイン農業から学び、資材を取り入れるようにしたいと中村さんは考えている。世界の動きを注視し続ける姿勢は今も変わらない。

イチゴ栽培に取り組む

花卉栽培自体がかなり低調な状況になっている。日本の興里農場は、代表権を息子に譲り、よく努力して取り組んでいる。インドネシアに行くこともなかなかできないので、色々考えた結果、イチゴの栽培に踏み切った。イチゴ栽培は、一人当たりの管理面積が少ないことと、作業面では葉かきなどに経験が要るので、それをしなくてもいい方法はないかを考えた。大面積でなければ、いずれコスト競争に勝てなくなるからだ。そのため、葉かきの方法をイチゴの栽培をまったくしたことのない人でもできる方法がないかと考えて作ってみた。それは高設栽培のやり方で、土壌の上にイチゴを植えるのだが、真横に植えることで一定解決することができた。真横に植えることで老いた葉が下に垂れ落ちることになる。その垂れ落ちた葉をかけばいいと教えることで、栽培管理の作業はかなり効率化される。側面には光反射シートで光がよく当たるようにする。この手法ならば、大規模面積のイチゴ栽培が可能となると中村さんはいう。イチゴは和歌山県の推奨品種である「まりひめ」で、筆者も試食させていただいたが、甘く、酸味はわずかで、後味が実にイチゴらしく香りも高い。いいイチゴだった。中村さんは、地球を駆け巡りながら、コロナ禍になれば、また新たな挑戦をする。そんな農業経営者が、日本の農業で活躍しているのが、頼もしい。

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