記事閲覧
【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
ギリシャ 産業用ヘンプと医療用大麻で経済危機を乗り越えよ!
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第41回 2021年04月23日
- この記事をPDFで読む
ヘンプの古代の証拠は定かではないが、古代ギリシャの歴史家として有名なヘロドトス(紀元前5世紀)の書にヘンプ繊維の一般的な利用についての記述が見られる。また、古代ギリシャのおもにローマ帝国時代(西暦40~90年)に活躍したディオスコリデスも、著書で大麻草に触れている。彼は、今日の植物園や薬草園のルーツとして知られる医師であり植物学者である。彼が著した『デ・マテリア・メディカ』の写本版には、大麻草を含む約500種類の薬草が収載されている(図1)。
オスマン帝国から1821年に独立したギリシャは、1890年にインドのハッシシ(大麻樹脂)の規制を定めたが、その当時には実質的な取り締まりは行なわれてこなかった。国内に7つの大麻繊維の加工工場があり、主にヘンプロープを製造していたという。しかし、第二次世界大戦後の冷戦時代に旧ソ連の脅威に対抗するために、トルコとギリシャの支援に力を入れた米国の影響により、1957年に大麻禁止政策を導入した。
その後ギリシャは、欧州連合の前身であるEC(欧州連合)に81年に加盟し、01年からユーロ通貨圏となった。90年代にイギリスやドイツなどのEU加盟国がヘンプとフラックス(亜麻)のEU規則に基づいたヘンプ栽培の復活を実現したことを受けて、05年からヘンプ栽培の復活に向けた活動が始まった。10年頃の経済危機の混乱を経て、13年に法律4139号で大麻の個人使用の制限が撤廃され、同時に向精神性植物のリストから産業用ヘンプが除外された。しかし、官僚仕事のためか細則が決まるのが遅く、3年後の16年に栽培品種をEU規則と同じマリファナの主成分THC濃度が0.2%未満のものに限る条件が制度化されて、最初に農家5名に栽培が許可された。17年には、農村開発省の研究機関によって18ページからなるヘンプ栽培ガイドが発行された。
EU加盟国でも遅れたヘンプ栽培の復活
オスマン帝国から1821年に独立したギリシャは、1890年にインドのハッシシ(大麻樹脂)の規制を定めたが、その当時には実質的な取り締まりは行なわれてこなかった。国内に7つの大麻繊維の加工工場があり、主にヘンプロープを製造していたという。しかし、第二次世界大戦後の冷戦時代に旧ソ連の脅威に対抗するために、トルコとギリシャの支援に力を入れた米国の影響により、1957年に大麻禁止政策を導入した。
その後ギリシャは、欧州連合の前身であるEC(欧州連合)に81年に加盟し、01年からユーロ通貨圏となった。90年代にイギリスやドイツなどのEU加盟国がヘンプとフラックス(亜麻)のEU規則に基づいたヘンプ栽培の復活を実現したことを受けて、05年からヘンプ栽培の復活に向けた活動が始まった。10年頃の経済危機の混乱を経て、13年に法律4139号で大麻の個人使用の制限が撤廃され、同時に向精神性植物のリストから産業用ヘンプが除外された。しかし、官僚仕事のためか細則が決まるのが遅く、3年後の16年に栽培品種をEU規則と同じマリファナの主成分THC濃度が0.2%未満のものに限る条件が制度化されて、最初に農家5名に栽培が許可された。17年には、農村開発省の研究機関によって18ページからなるヘンプ栽培ガイドが発行された。
会員の方はここからログイン

赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
