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土門「辛」聞

穀粒判定器の正式導入が米の生産・流通を変える

米の検査が大きく変わる。長年、慣れ親しんできた目視検査に、穀粒判定器を使った機械検査が正式に取り入れられるからだ。当面は、目視と機械が併走する。正確さにおいては機械にかなうものはなく、あっという間に穀粒判定器が米検査のデファクト・スタンダード(事実上の標準)となることは間違いない。
正確な判定結果が期待できる。目視検査では、等級(1等・2等・3等・規格外)で結果を示す。機械検査はデジタル数値の表示になる。1等、2等などという曖昧なものではなく、そのものズバリの数値での表示となる。これにより生産者・実需者にとって、よりきめ細やかな取引が期待できる。
2023年には農水省版情報伝達プラット・ホーム「スマート・オコメ・チェーン」が立ち上がる。米の生産と流通に関する情報をワン・ストップでチェックできるポータル・サイトのようなものになることを期待する。穀粒判定器が示す数字は、そのコンテンツのベースとなるものだ。生産者、集荷業者、販売業者がその判定結果の数字を入力すれば、リアルタイムでマーケットの共有情報となる。
とりあえずは穀粒判定器を使った機械検査導入にまつわる影響を探ってみたい。

目視検査をしのぐ最新型穀粒判定器

穀粒判定器の写真をご覧いただきたい。オフィスにあるタイムレコーダーのような形状だ。カルトンと呼ぶ黒色の穀粒鑑定皿に米粒を並べての目視検査とは違って、いかにもデジタル・スタイル。これだけでも正確な検査結果が出てくるとイメージできる。ただスピードは目視検査とどっこいどっこいらしい。スピードと正確さのどちらが優先されるかとなれば、確実に後者。
穀粒判定器の歴史は30年前に遡る。東京・大田区のケツト科学研究所が1980年代半ばに開発した米粒判別器がルーツ。その後、急速に発展したカメラの高解像度化と画像診断の急速な発展で、大量の米粒でも瞬時に計測できるようになった。穀粒判定器として市場にデビューするのは2017年から。精米機メーカーのサタケや静岡製機も後追いし、現在3社の製品が揃い踏みとなった。
ケツト製「RN‐700」の場合、白未熟粒、砕粒、胴割れ粒、死米、着色粒の判定を対象に、1回の判定(約1000粒)に要する時間は約40秒。熟練の検査員による目視検査に及ばないが、大量に検査するなら、機械検査に軍配が上がる。重要な点は、目視の場合、検査員の技量により判定結果にどうしてもバラツキが出がちだが、機械検査はそれがない。

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