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土門「辛」聞

穀粒判定器の正式導入が米の生産・流通を変える


全米工が取引する中米やくず米には外観形状の規格はない。穀粒判定器とウェブカメラを使えば、現物をみながらの取引会に近づけると考えた。中島理事長(福岡農産社長)の着想だ。穀粒判定器を活用することで、ウェブカメラで撮影した米の画像写真で品質をより客観的に確認することができる。
これは、ある意味で「革命的」ともいえる。そう皮肉るのは、米取引が超アナログの世界だからだ。いまだにキーボードに触れたこともないという集荷商がわんさかいる現実が厳然とある。ガラケーで億単位の米商いをやっている猛者もいる。あえて「革命的」と形容句を添えたのは、「いつまでガラケーで商売ができると思っているのかい。そのうちマーケットから置いてけぼりになるぞ」と警告を込めてのことだ。

等級格付けによる取引は市場の片隅に

穀粒判定器が米の生産と流通に大きな影響を及ぼすエポックメーキングなツールになり得ることは間違いない。集荷激戦地の茨城で米の集荷を商い、登録検査機関の資格を持つ方の話を聞いて痛感した。
「一昨年から穀粒判定器を使い始めました。従来、茨城は目視による等級格付けが甘く、それが原因で買いたたかれるようなことがありました。穀粒判定器が示す測定数値なら、生産者も文句のつけようがないだろうと思い、測定数値を基準に買い値を決めるようにしました。一昨年のことでしたが、大規模の担い手農家から持ち込まれた米を検査したところ、目視検査で2等、それを裏付けるため、穀粒判定器の測定数値を示したら、農協に持って行くと言われました。農協では、1等と格付けして集荷したそうです。確かに悔しい思いはありますが、2等を1等で売ったとしても、その当座はいいとしても、いずれは自分の首を絞めることになると思います。取引相手からクレームを付けられ、値段を買いたたかれるか、取引が打ち切られるか、そのいずれかになります」
……………………
取材していて腑に落ちないのは、「スマート・オコメ・チェーン構築でJAS規格の実現を目指す」という点だ。農水省案は、「食味など品質」をJAS規格に取り入れる方針のようだが、実に本末転倒な話である。
米の輸出に拍車をかけるなら、真っ先にJAS規格とすべきは「外観・形状」であって「食味など品質」はその次のテーマになるはずだ。輸出国なら、どの国でも「外観・形状」をJASのような国際的に通用する規格にしている。

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