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イベントレポート

「水稲直播・子実用トウモロコシ」フォーラムin岩手

3月10日に水稲直播栽培が着実に拡大しつつある東北地域で、「水稲直播・子実用トウモロコシ」フォーラムin岩手が開催された。主催した農研機構・東北農業研究センターは、岩手県花巻市の盛川周祐氏をはじめとする大規模な水田経営者とタイアップして、彼らの乾田直播の技術を体系化し、『乾田直播栽培技術マニュアル―プラウ耕・グレーンドリル播種体系―』を作成・公開して普及拡大に努めてきた。子実用トウモロコシ栽培でも、現場とタイアップして、東北地域への展開をサポートする体制を整えつつあるようだ。
本フォーラムはコロナ禍に配慮して、盛岡市内の会場で感染対策を配慮して参加する方法と、オンラインでwebから視聴する方法が併用された。参加者は会場に集まった140名に加えて、北海道から九州まで全国からオンラインで視聴した170名を合わせた310名だった。
冒頭で紹介されたのは、2020年4月に発足した「水稲直播および子実トウモロコシ普及促進会」(以下、普及促進会)である。東北農業研究センターと岩手県が連携し、生産者と農業関係団体、メーカー、市町村などの12団体が、水稲直播と子実トウモロコシ栽培の研究成果の普及を目的に参画した。水稲の直播栽培に先駆的に取り組んできた「いわて直播栽培米研究会」(01年に設立)とも連携して、研修会や実演会、現地検討会を開催し、現場巡回により作業や作物の情報を共有したという。本フォーラムの共催に名を連ね、いわば普及促進会が得た経験を発信する場となった。
プログラムは10時30分~16時30分まで、水稲直播栽培と子実用トウモロコシの栽培・調製に関わる発表と意見交換に充てられた。行政、普及・農業経営、研究のそれぞれの視点から話題が提供された後、質問を踏まえた意見交換では、乾田直播の現場をよく知る大谷隆二氏(同研究センター・企画部部長)が座長を務めた。

数年に一度の直播ブームなかなか定着しない現実も

水稲直播栽培の岩手県内の現状を同県農林水産部農業普及技術課の萩内謙吾氏が報告した。県内の水稲直播面積は17年をピークに減少し、19年産は960haになったが、直播に取り組む経営体は増え、一経営体当たりの導入面積は拡大しているという。100ha(10経営体)前後で推移している乾田直播に比べて、約8割を占める鉄コーティング湛水直播の減少が顕著だ。収量の安定化、雑草対策などの技術的な課題が依然として指摘され、圃場の大区画化、的確な水管理のできる圃場づくり、水田輪作体系の構築、機械の汎用利用なしに定着しないが、ここでその打開策は示されなかった。

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