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【新・農業経営者ルポ】
全員野球を率いる経営再建のキーマン
- (株)べジ・ワン北杜 代表取締役社長 竹内達
- 第202回 2021年05月24日
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紙1枚まで経費を見直し
「販売単価をいかに上げて、コストを下げるか。極端な話、トイレの紙1枚まで見直そうと。従業員には『自分の家ならどうするかと、農場が自分の家のつもりで考えてください』と話しています」
さいたま市大宮区にあるサイサン本社の会議室で、竹内が話す。サイサンの秘書室長を経験し、オーナーの秘書を務めたとあって、紺のスーツにネクタイ、襟に社章を付けた姿はビジネスマンのお手本と言っていい。それだけに、こういう話が飛び出すとは、予想していなかった。
北杜市の農場には施設型にしては広い2・45haの敷地に、1・78haの高軒高のフェンロー型ガラス温室が並ぶ。オランダのコンサルタント会社の指導を受け、設備は主にオランダから輸入し、一部韓国の機械も導入した。
比較的冷涼な気候を利用し、パプリカの大規模経営では唯一夏季栽培をして6~1月に出荷する。パプリカは1日の平均気温が25℃を超えると栽培が厳しくなる。特に夜温の高さは避けなければならない。その点、地の利を生かして、ほかの大規模経営ができない夏季栽培ができる。他社の端境期に卸や小売店と取引が始まることもある。出荷量は300t強だ。社員は4人で、最盛期はパート40人を雇う。
特徴は、7色ものパプリカを生産すること。通常の赤、黄、橙に加え、白、紫、茶、緑も栽培する。パプリカはメインが7品種で、6品種を試験栽培中だ。顧客の要望が強く、生産を増やしている「パレルモ」は3品種扱う。茨城県美浦村にある同じグループの美浦ハイテクファームと産地リレーすることで「ベジ・ワン」のブランドで年間を通じて供給できるのも強みだ。
大手量販店やデパートと取引があり、参入後5年にしては、販路は順調に拓けているようにも思われる。年商は2億円近い。しかし、建設費にコンサルフィーなど、莫大な初期投資の回収はなかなか難しいという。目下の目標は「単年度の黒字」の達成だ。
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竹内達 タケウチサトシ
(株)べジ・ワン北杜
代表取締役社長
1952年、埼玉県狭山市生まれ。日本大学大学院生産工学研究科機械工学専攻修士課程修了。造船関連会社、都市ガス会社を経て、83年、ガスの供給を主業とする(株)サイサン(さいたま市)入社。営業、システム開発、秘書室長などを経て、2020年に(株)ベジ・ワン北杜社長に就任。北杜市の農業法人で構成する北杜市農業企業コンソーシアム事務局長。
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