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世界農業遺産を訪ねて

梅産業のイノベーションが持続的農業と生態系を保全 和歌山 みなべ・田辺の梅システム



注1:農業の発展地域ほど後継者がおり、平均年齢は若いが、市町村別農業産出額のトップクラスと比較しても、みなべ町農家の平均年齢は遜色ない。農業産出額1位は花卉園芸が盛んな愛知県田原町であるが、田原町の基幹的農業従事者の平均年齢は59.8歳、2位の新潟市65.6歳、3位茨城県鉾田市59.4歳、4位青森県弘前市62.9歳、5位静岡県浜松市68.3歳である。みなべ町の平均年齢の若さは、梅農業の発展を示唆している。

3 加工業のイノベーションが梅産業を主導

産業組織
みなべ町の梅産業は、梅生産者、梅干し加工業者、流通業者、段ボール等資材業者からなり、就業人口の7割は梅産業に就いている。
梅生産者は1301戸(現在)、家族経営である。栽培規模は1haが典型である。青梅で出荷するケースと、塩漬け+天日干し(白干し梅、塩分20%)で加工業者に出荷するケースがある。後者の割合が多い。
江戸時代以来、山の傾斜地に立地してきたが、近年は山を下り、平場に移る傾向がある。水田に梅を植え、生産効率が向上している。また、農地造成事業で急傾斜地を平坦にしたところもある。
出荷は、昔は青梅4割、白干し6割であったが、近年は青梅1割、白干し9割に変わっている。産地としては、加工するほうが付加価値が増え、いい方向である。
梅加工業者は41社ある(加工販売)。農家から仕入れた白干し(塩分20%)を減塩し、さらに調味(ハチミツ、しそ、鰹節)した製品として販売している。農家から青梅で仕入れ加工業者が塩漬けするケースもある。また、自社園を持っていない加工業者は2~3割くらいで、半数以上は自社園を持っている。
加工業者は規模が大きく、従業員数100人以上もあるが、小さくても10人程度である。大手が伸び、中小は減る傾向にある。なお、加工業者数は増えている。農家が自分で加工したものをネット販売しているからだ。
梅生産者は減る傾向にある。後継者のいない農家の梅園は、加工業者の手に渡ったり、農家が借地して規模拡大している。
生産者と加工業者の取引は、契約栽培が多かったが、このパターンは近年減ってきた。仲買人が間に入る傾向が多くなっている。もともと農家プラス販売の人たちが仲買人に発展し、新規参入してきた。梅のグレード、サイズ別にA級品、C級品と仕分けして取り扱っている。市場の機能分化を担っているわけで、存在価値がある。今では、梅の流通量は仲買人ルートが多い。

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