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特集

奮闘する全国各地の地域特産作物(前編)


商品は道の駅などで販売。ふるさと納税返礼品にもラインナップされている。
加藤さんがオリーブ栽培を始めたきっかけの一つに、小田原市のオリーブに関する取り組みがある。市は、農業者の高齢化や有害鳥獣の被害、耕作放棄地の増加といった問題に適応でき、また近年の健康志向の高まりから需要が見込めるとオリーブに注目した。そして市は、新たな農作物のブランドを作ろうと考え、栽培農業者を募集。それに手を挙げた一人が加藤さんだった。
現在も小田原市は、オリーブ栽培農業者で構成された小田原オリーブ研究会(事務局は小田原市農政課)を中心に、栽培者への安定した収穫量確保のための支援策を進めるとともに、ブランド化に向けたPR活動の強化などを続けている。
しかし、すべてが順調に進んでいるわけではない。植樹した2年目からオリーブの天敵であるオリーブアナアキゾウムシなどの虫害に悩まされている。
また、新型コロナウイルスの影響も少なくない。例えば、オリーブ茶は珍しいため、試飲してから購入を決める人が多い。ただ、今はできないので、販売状況は例年よりも良くはないそうだ。

【下を向かない】

それでも、加藤さんは下を向かない。
「待っていては何も進展しません。すべてを完璧にはできないですけど、絶対にいいと思っていることは実現するために精力的に動きます」
加藤さんは、2019年10~11月の10日間、イタリアに行き、ラツィオ州認定UMAO(Unione Mediterranea Assaggiatori Oli.「地中海オリーブオイル鑑定士組合」)オリーブ鑑定士の育成講座を受けた。観光は一切せず、10日間オリーブづけの毎日だった。加藤さんは現状に満足することなく、オリーブの知識や技能のアップデートを怠らない。
最近では、新たに、オリーブリーフパスタの開発・提供、市内のパン屋と連携し、小田原オリーブ園の干しオリーブを使ったパンなどの販売もしている。
さらに、オリーブオイルの木を焼酎に漬け、どんな味になるのかと実験をしているそうだ。

生産者と町が一体になって事業を促進/美里町EGOMAファーム(埼玉県美里町)

【耕作不利地でエゴマを栽培】

美里町は、埼玉県北西部に位置する人口約1万1000人の町だ。南北に長い形をしており、北部と中央部には基盤整備された農地が広がる。コメと小麦の二毛作や野菜の生産が盛んだ。
南部の丘陵地は、養蚕衰退後に町の事業で桑園からブルーベリーに転換し、国内有数の産地を形成している。町のマスコット「ミムリン」もブルーベリーがモチーフだそうだ。しかし、円良田地区をはじめとする最南部の中山間地は、耕作条件が不利だったうえ、農地所有者の高齢化、後継者不足、イノシシ被害などさまざまな要因が重なり、遊休農地化が進んでいた。

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