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土門「辛」聞

精米JAS規格策定が問題含みで進行中

前月号で農産物検査の議論はやり直しと書いておいた。穀粒判定器の話題にまつわる検査制度見直しの議論だけかなと思っていたら、唐突に精米JAS規格化やオコメ・チェーンの話が出てきた。資料を読み返しても、担当の穀物課米麦流通加工対策室に取材をしても、見直しの議論の本質がまるで見えてこない。
精米JAS規格化は、農産物検査法の廃止をめぐる規制改革推進会議(略称・推進会議)と農水省の綱引きの産物だった。同法廃止となれば、現行玄米検査の根拠がなくなる。焦った農水省は廃止撤回を官邸に猛チャージ。その見返りに、精米JAS規格化を持ち出して廃止を免れたようだ。農水省にとってあまり知られたくない舞台裏事情だ。
オコメ・チェーンも、その類いの話。走りながら中身を考えるという典型的なやっつけ仕事。官邸はデジタルトランスフォーメーションの旗を振っている。それに呼応して農水省は「スマート・フード・チェーン」と呼ぶ情報プラットフォームの構築を急いでいる。精米JAS規格化によって得られるデジタル情報は、米関係の情報を集めたオコメ・チェーンの看板コンテンツに据えると派手にぶち上げただけのことだ。

身から出た錆で廃止迫られる

推進会議側から農産物検査法の廃止を強く求められたのは、そもそも農水省にとって身から出た錆だった。収穫した籾は玄米になり、最後に精米となる。それぞれの段階に、いまでも農産物検査法による検査規格が厳然と存在する。それを頭に入れて下段の写真をご覧いただきたい。
某大手スーパーで売られている冷凍チャーハンだ。首を傾げてしまう表示にお気づきだろうか。すぐ分かった方は、相当の事情通。実は精米販売でも、同じような「一等米」表示は横行している。例えば、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」で「一等米」と検索をかけたら、この表示を使って販売している米は472件もあった。ほぼすべてが玄米検査による一等米を表示に使っているのだ。農家でさえ、一等米の意味をよく理解していない事例である。

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