記事閲覧
【土門「辛」聞】
精米JAS規格策定が問題含みで進行中
- 土門剛
- 第200回 2021年05月24日
- この記事をPDFで読む
精米JAS規格化は、農産物検査法の廃止をめぐる規制改革推進会議(略称・推進会議)と農水省の綱引きの産物だった。同法廃止となれば、現行玄米検査の根拠がなくなる。焦った農水省は廃止撤回を官邸に猛チャージ。その見返りに、精米JAS規格化を持ち出して廃止を免れたようだ。農水省にとってあまり知られたくない舞台裏事情だ。
オコメ・チェーンも、その類いの話。走りながら中身を考えるという典型的なやっつけ仕事。官邸はデジタルトランスフォーメーションの旗を振っている。それに呼応して農水省は「スマート・フード・チェーン」と呼ぶ情報プラットフォームの構築を急いでいる。精米JAS規格化によって得られるデジタル情報は、米関係の情報を集めたオコメ・チェーンの看板コンテンツに据えると派手にぶち上げただけのことだ。
推進会議側から農産物検査法の廃止を強く求められたのは、そもそも農水省にとって身から出た錆だった。収穫した籾は玄米になり、最後に精米となる。それぞれの段階に、いまでも農産物検査法による検査規格が厳然と存在する。それを頭に入れて下段の写真をご覧いただきたい。
某大手スーパーで売られている冷凍チャーハンだ。首を傾げてしまう表示にお気づきだろうか。すぐ分かった方は、相当の事情通。実は精米販売でも、同じような「一等米」表示は横行している。例えば、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」で「一等米」と検索をかけたら、この表示を使って販売している米は472件もあった。ほぼすべてが玄米検査による一等米を表示に使っているのだ。農家でさえ、一等米の意味をよく理解していない事例である。
オコメ・チェーンも、その類いの話。走りながら中身を考えるという典型的なやっつけ仕事。官邸はデジタルトランスフォーメーションの旗を振っている。それに呼応して農水省は「スマート・フード・チェーン」と呼ぶ情報プラットフォームの構築を急いでいる。精米JAS規格化によって得られるデジタル情報は、米関係の情報を集めたオコメ・チェーンの看板コンテンツに据えると派手にぶち上げただけのことだ。
身から出た錆で廃止迫られる
推進会議側から農産物検査法の廃止を強く求められたのは、そもそも農水省にとって身から出た錆だった。収穫した籾は玄米になり、最後に精米となる。それぞれの段階に、いまでも農産物検査法による検査規格が厳然と存在する。それを頭に入れて下段の写真をご覧いただきたい。
某大手スーパーで売られている冷凍チャーハンだ。首を傾げてしまう表示にお気づきだろうか。すぐ分かった方は、相当の事情通。実は精米販売でも、同じような「一等米」表示は横行している。例えば、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」で「一等米」と検索をかけたら、この表示を使って販売している米は472件もあった。ほぼすべてが玄米検査による一等米を表示に使っているのだ。農家でさえ、一等米の意味をよく理解していない事例である。
会員の方はここからログイン

土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
