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隣町では1ha当たり250万円から370万円のようだ。前提として農地の価格と負債の割合でA、B、Cランクがあり、払えない借金が資産(多くは農地価格)の70%になると、JA金融から呼び出しがくる。昭和の時代は11月になると、うなだれたご夫妻が数組、金融の椅子に座っているのが見受けられたが、この30年間の農水の明確な予算配分のおかげでそのような光景も見なくなった。農地1ha当たり250万円の70%と450万円の70%ではどのくらいの差があるかは、小学生に計算してもらいましょう。
ではなぜこの地区は450万円なのか? 誰かがスグ借りるか買うからだ。単純な競争原理になる。さ~誰がスグ借りるか買うのでしょうか? 賢い皆さんならすぐわかりますね。農地が安いところは少なくとも私の地区よりも競争原理が成り立っていないのだろう。競争原理が成り立っていないと価格は安いから、JAが各農家に貸出できる金額が明らかに少なくなってくる。だって先ほどの70%は変わりませんからね。つまり長沼、特に私の地区の農地が高いのは、JA経営にとっても良いことになりますね。はい、どういたしまして。
さて先ほどの建物の解体費用はものすごく上がってきている。3年前だったら1軒当たり75万円だったが、今では200万円はくだらない。それに倉庫、木々があると簡単に500万を超える費用になる。つまり当時建てた家の金額をもう一度払うことになる。私のように450万円/ha×面積だと何とか解体費用を売り主は払えるが、250万円/haだとどうなるのだろうか。
長沼、北海道、日本のどこをとっても20年から25年で実農家の数は半分、つまり一経営体当たりその経営年数で2倍の経営面積にすることになり、それに伴い先ほどの物理的な建物処分の経費が重くのしかかる。言い方を変えれば、農業家族1世代で2倍の経営面積にならない経営体は作物の変換をしていかないといけないことになる。この面積遍歴の過程は日本だけではなく、アメリカでも起きていることで、これからもその流れは変わることはないだろう。小さな農業経営は難しいのだ。
その過程でどうしても導入しなければならないのが“楽して稼げる”遺伝子組み換え作物の導入だ。地元にはこんな方もいる。反遺伝子組換え作物の先駆者であり、北海道スローフード宣言を作った現長沼在住の北海道庁・農政部元部長、副知事経験者は正直者だ。イタリア初のスローフード宣言には「小さな農業を守る」とあるが、反米でイタリア人にはなりきれなかった北海道スローフード宣言にはその言葉は見当たらない。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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