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特集

奮闘する全国各地の地域特産作物(後編)


例えば、地元の音更小学校で食育授業の一環で、毎年菜の花給食を提供。その中で、子どもだけなく、その親にもなたね油を知ってもらい、簡易の搾油機で油を作って試食してもらっている。
「普通の油を使ったものは食べられなくなるといった声が出ています」
こう小笠原組合長は言うが、残念なことに、組合が結成された2010年から毎年開催されていたが、昨年から新型コロナウイルス感染症の影響で一時休止を余儀なくされている。また、コロナの影響は顕著ではないが、それでも飲食店に卸していたものは落ち込んでいるそうだ。
最後に今後の展望を聞いた。
「現状維持という声が大きいです。ただ、販売網を広げること、そして、やっぱり搾油を自分たちで行なうことを実現したいですね」
生産だけでなく、地域をはじめとした企業や学校などと連携してなたねを広めていく活動は、6次産業化を考えるにあたり、成功に導く鍵となるかもしれない。

世界へ発信「Sakuraba」/一般社団法人伊豆松崎町桜葉振興会(静岡県松崎町)

【伊豆の松崎町が誇る桜葉】

伊豆半島南西に位置する松崎町の桜葉の塩漬けは、芳醇な香りと味が魅力だ。その松崎町産の桜葉の塩漬けを伊豆松崎町桜葉振興会は「Sakuraba」と名付けた。
その原材である桜葉の約70%が松崎町で生産されている。もちろん日本一の産地だ。
松崎町で桜葉が生産されるようになった歴史を紐解くと、この地域ではもともと炭焼きが盛んだった。その焼いていた木から桜の新芽が出たものを利用して、昭和初期から徐々に桜葉の栽培が広まり、昭和30年代からは、本格的な桜の畑栽培が始まった。
塩漬けには、花を観賞するソメイヨシノとは異なる、特有の芳香成分「クマリン」の含有量の多い「オオシマザクラ」の葉を収穫して用いる。地域の土にマグマや火山灰が含有されているとされており、塩漬けした際の風味は他産地のものと比較すると違いがはっきりわかる。
毎年5月から9月にかけての収穫から塩漬けが行なわれる。
5月初旬、生育した葉を一枚一枚丁寧に手で摘む収穫の時期がスタート。摘み取った葉を大きさごとに分け、50枚を一束に束ねる。この作業を松崎町では「まるけ」と呼んでいるそうだ。
そして、昔ながらの製法で、桜葉の束を樽に同心円状に並べ、そこに塩をまく作業を繰り返し、鮮度が大切なため収穫したその日のうちに塩漬けにしていく。昔はスギの三十石樽(直径2m、高さ2mもある大樽)に漬け込み、1樽で4万束、200万枚が漬け込まれていた。

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