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世界農業遺産を訪ねて

テロワールの参入障壁から高収益 消費者支持が持続的農業を導く 静岡 水わさびの伝統栽培


豊富な湧水を必要とするため栽培適地が限られ、多量の降雨に恵まれた伊豆地域が東京・大阪市場で9割を占めている。価格も高くなる。畳石式栽培の効果であろう。
わさび田には木が生えている。わさびは夏季の直射日光に弱いため、強い日差しを遮るために植栽されたヤマハンノキだ。これが独特の景観を織り成している。ハンノキが育たない所(下流など)では寒冷紗で代用している(寒冷紗の開発は1960年代)。
また、緩やかな水の流れは、ハコネサンショウウオなどの希少な生物に生息環境を提供している。伊豆のわさび田は多様性のある豊かな生態系を保全している。
畳石式という人間の知恵によって、何でもない沢が富を生む沢に変わり、人々を豊かにしたことがこの地の農業を継続させてきた。独特の景観も生態系も、畳石式によるところが大きい。開発者の平井熊太郎翁は静岡県にとって大恩人だ。

世界農業遺産登録
日本の固有種であるわさびを、沢を開墾して階段状に作ったわさび田で、湧水に含まれる養分で栽培する伝統的な農業を継承、独特な景観、多様な生態系の生活環境を提供していること等が評価され、2018年に、国連食糧農業機関(FAO)が始めた「世界農業遺産」に認定された。
システム名は「静岡水わさびの伝統栽培(発祥の地が伝える人とわさびの歴史)」。認定地域は伊豆地区だけではなく、静岡県わさび栽培地域(静岡市、伊豆市、下田市、賀茂郡東伊豆町、河津町、松崎町、西伊豆町の3市4町)。
表3は、静岡県内のわさび田の分布状況を示唆する。県全体ではわさび田が120haあるが、8割は伊豆地方に集中している。生産量では9割を占める。主産地は伊豆市の中伊豆と天城湯ヶ島だ(表4)。

全国のわさび生産推移
なお、表5は全国の水わさび生産の推移である。緩やかな減少傾向がみられる。後継者不足による生産者数の減少の影響とみられる。わさび栽培は全国に広がっているが、長野県と静岡県で全国の90%を占める。
わさび需要は強い。供給制約があるため、価格が高止まり、価格弾力性から消費が伸び悩んでいる。

3 静岡わさびはワインの如き

筏場地区のわさび田
修善寺から車で約30分、中伊豆地区の筏場を訪問した。大見川の上流部に位置し、天城山からの清澄な水が流れ、森林に囲まれた自然豊かな場所だ。「静岡県棚田等10選」や「ふじのくに美しく品格のある邑」に選ばれたわさびの郷である。

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