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世界農業遺産を訪ねて

テロワールの参入障壁から高収益 消費者支持が持続的農業を導く 静岡 水わさびの伝統栽培


筏場のわさび田は約15?ha、1500枚から成る。生産者は50戸あるが、専業は20戸、多くは兼業である。経営規模は30a程度が多く、ほとんど家族経営である。1ha以上規模もあるが、その場合、人を雇用している。60~70a規模もある。
中伊豆山葵組合組合長の塩谷美博氏(63歳)にお会いした。わさび専業農家で、わさび田は10か所に分散し、合計75a経営している。うち20aは市役所勤務の人からの借地である(借地料は10a当たり8万円)。当地域は貸し借りはあっても、売買はない。代々継承する「金鉱脈」だからだ。労働力は本人、妻、息子の3人である。

わさび田は畦がない
わさび田の中に降りて行ったが、わさび田には“畦(あぜ)”がない。他人様の田を通って自分の圃場に行くことになる。わさび栽培は大変な高収益、一寸の面積も「値千金」なので、直接富を生まない畦道のようなものはないのであろう。最有効利用の促進。畳石式の圃場は、表面を澄み切ったきれいな水が数ミリの厚みでゆっくり流れている。青々と葉が茂った田、ポット苗を植えたばかりの田、収穫中の田が隣り合わせでモザイク状に散らばっている。わさびは周年作物であり、いつでも苗植え、いつでも収穫できる(生育期間ほぼ1年半)。日陰対策はハンノキと寒冷紗が併用されている。
塩谷氏は収穫作業中で、わさびを選り分けていた。地中から引き抜いた株にはたくさんの子株がついており、分根し、茎を取り、田の水で洗い砂を落とすと、お馴染みのイボイボの根茎(わさび)の姿になる。根茎は出荷、分根は苗に使う。塩谷氏の栽培品種は「真妻(まづま)」が主体である。
塩谷「真妻は辛味が強く、風味も豊かだ」「価格は他の品種に比べ1・5倍くらい高い」。最高級品種である。「ただ、真妻の栽培は気難しい」。真妻は栽培場所が限られ、沢の上流域で栽培する。下流では水温が高くなるので適さない。
また、真妻は生育期間が長いので(1年半以上)、その間に環境が大きく変わると、品質が安定しない、形が悪くなる等、リスクが高い。ただ、市場の評価は高いので、栽培技術に長けた人は環境変化によく対応し、高価格を享受できる。

品質は水で決まる
わさびの出荷価格は1箱(2kg入り)平均1万円強であるが(2020年)、上物は2万円、3万円のものもある。高品質わさびに育てる秘訣を聞いた。
塩谷「コツはない。水が決める。沢によって水質が違う」「一番必要なのはきれいな水。それもふんだんに」「水温は一年中、10℃から15℃に保たれている」。

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