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世界農業遺産を訪ねて

テロワールの参入障壁から高収益 消費者支持が持続的農業を導く 静岡 水わさびの伝統栽培


苗の供給も試験場の仕事になっている。種で増やす方向が多いが(実生苗)、真妻品種のメリクロン(培養苗)の2次増殖苗も供給している。真妻は種が取れず栄養繁殖であり、収穫した主根茎から分離した分根を定植苗として使う。しかし、親が病気になっていたら分根も病気になる。そこで、病気にならない苗を作るため、メリクロン苗を作っている。
しかし、メリクロン苗は1本150円と高い。高すぎるので、生産者は分根苗を使うことが多い。これは無料だ(計算上30円。先述の塩谷氏も分根苗を使っている)。また、メリクロンは高いので、試験場でも、2次増殖の親株として使われることが多いようだ。
試験場にとって、世界農業遺産登録の意義は何かを聞いた。久松「わさびが脚光を浴びれば、研究開発資金が増え、研究環境の底上げができるかもしれない。生産者も元気になる」。

畑わさびによる新規参入
わさび田は制約要因が多く、増やせない。既存の生産者は高収益の故、手放さない。そのため、高収益農業でありながら、新規参入は困難である。しかし、発想を変えれば、道は開ける。
伊豆市では、「畑わさび」を実験している。下流域で、水田跡地に畑わさびの導入を計画している。わさび加工屋向けに茎(葉柄)を出荷する計画だ。10a当たり収入は200万円以上になる(1万本×1本600g×350円/kg)。仮に1本800gの場合は280万円になる。通常、露地野菜の10a当たり収入は50万円であるから、畑わさびがいかに魅力的な作物であるかが理解できよう。技術的には今でも可能だが、苗の入手や水利の調整が今後の課題なようだ。
山間地の渓流の上流、中流に立地するわさび田は、後継者がいる。下流の水田は耕作放棄地が出ている。ここで、畑わさびは大いに可能性がある。収益性が高いので、新規就農者を募集すると応募者は多いとみられる。いま、伊豆市役所農林水産課が実証中であるが、県研究センターわさび科も協力している。
……………………
高所得農業がわさび田を守る。わさびは和食を支えるツマとして、強い需要があるから高収益なのだ。つまり、消費者に愛され続けていることが、サステナブルの最大の要因である。単純な真理だ。消費者支持があるから、300年続く持続的農業が実現しているといえよう。

前号の修正
▼12頁2段目2~3行目「全国一、二を争う」→「全国一の」。同6行目、「全国一である」→「全国一、二を争う」。

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