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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

南アフリカ共和国 ヘンプは試験栽培で足踏み続き 医療用・嗜好用は先に合法化へ


医療用の合法化の次は嗜好用の解禁か

法律で禁じられていても、違法な大麻栽培は繰り返されてきた。11年の国際麻薬管理戦略レポート(INCSR)によると、同国から毎年4528tの大麻が違法に流通したとされている。政府は80年代以降、作物根絶のためにパラコートやグリホサートなどの薬剤をヘリコプターから空中散布して対処してきた。 しかしながら、一方では2010年に通称ダガ・カップル(大麻夫婦)が逮捕された事件をきっかけに、大麻合法化の議論や付随する社会運動が盛んになった。 その結果、17年に医薬品及び関連物質法の改正に伴い、大麻草の分類が別表7の「医療用途のない麻薬」から別表6の「医療用途のある麻薬」に変更されたのである。これは実質的に医療用大麻の合法化を意味する。早速、ヘンプの試験栽培の実績のあるハウスオブヘンプ社は、海外企業と連携して、医療向けの大麻栽培を本格的に開始した。 さらに、18年には憲法裁判所(日本の最高裁判所に相当)は、成人が自宅で大麻を栽培、喫煙することを合法とする画期的な判決を下した。判決では、アパルトヘイト政策の廃止後に制定された1996年憲法は、基本的人権を保護し促進する義務を立法府と司法に課した急進的なもので、大麻の個人的使用をプライバシーの権利と位置づけた。つまり、大麻の栽培および使用を理由に逮捕することは、プライバシーの権利を侵していると解釈されたのである。この判決に基づく嗜好用大麻の合法化法案は議会に提出され、現在審議中となっている。法案が通過すると、ウルグアイ、カナダ、メキシコのように完全な大麻合法化国の仲間入りとなる。 産業用ヘンプも遅れて合法化を目指し、南アフリカ大麻開発評議会(CDCSA)を立ち上げた。目下、ウルグアイ・モデルを参考に、医療用・嗜好用・産業用の全分野の栽培、加工、販売の法整備を求めている段階である。人権、地域社会への貢献、有機栽培、100%天然素材、低炭素フットプリント、南アフリカの誇り、黒人の経済力強化政策(B−BBEE)の7つの柱を掲げ、歴史的な負の遺産をヘンプ産業で乗り越えようとしている。

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