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特集

中国が日本のコメを変える


農水省は6月に「コメの輸出をめぐる状況」をまとめている(次ページ表参照)。その中に2015年から20年まで国別輸出数量と金額が示されている。15年の輸出数量は7640tであったが20年には1万9687tに増加している。2.5倍以上に増えており、順調だということも出来るが、穀物の輸出という視点から見れば、ごくごく少ない数量である。
国別では香港、シンガポール、台湾が多く、特に香港は全体輸出量の35%を占めている。中国は、15年は568t、20年には1002tに増加しているのだが、市場規模からするとまだまだ少ない数量に留まっている。

【日本米が中国で構造的に高くなる要因とは】

中国向けの日本産米輸出数量がこの程度に留まっているのは、日本側の輸出の取組が消極的だったからではない。過去には中国から大型のクルーズ船に乗って日本に来る観光客に日本産パックご飯を無償で提供したり、上海の外食店でも試食用としてパックご飯を提供したりした。
最近では上海の展示会でジェトロがブースを構え、全農、ホクレン、神明、木徳神糧といった大手が日本産米を展示、現地のバイヤーにアピールした。こうした日本米紹介の展示・商談会はヨーロッパでも行なわれており、終わった後は必ず「大盛況であった」とコメントが添付されるのが通例になっている。上海の展示・商談会も同様であったが、それが必ずしも輸入増加に繋がっていない。
上海に日本米販売のために初めてテナントショップを構えた板橋貿易という会社がある。出展した当時の話を聞く機会があった。
板橋貿易が上海の田子坊地区にオープンした日本米販売専門店舗の名前は「瀛之粮品」という。瀛(えい、よう)は東の島のことを意味しており、中国人はこの字を見ると日本のことを連想するという。粮品とは食品の意味で、合わせると日本の食品を販売している店だということが分かる。田子坊地区は日本でいうと浅草のような場所で上海に住む人以外の観光客が平日で2万人、休日には6万~7万人が訪れるという繁華街。ここに売り場面積30立方mほどの純和風の店舗を作り、日本から輸出したコメを販売することにした。
同社は大連に現地法人があり、当初日本から輸出したコメは大連の日本人向けに販売していたが、日本から輸出する際の燻蒸義務や現地の独特の商習慣により、末端価格がキロ1000円にもなり、当初は売れ行不振で輸出した半分のコメを破毀しなければならないほどであった。

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