ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

中国が日本のコメを変える


その後少しずつ輸出量は増加したが、現地量販店での価格は中国で生産される日本米が2kg100元程度であるのに対して日本米はその数倍という価格で、期待出来るような数量にはならなかった。
そこで4年目に問屋を通さずに流通経費をカット、直接販売により店頭価格を安くすることにして自社のPB白米まで作った。
店舗での評価で、買いに来た中国人が最初に聞くのは「このコメは本当に日本から来たコメか?」ということ。訪日する中国人が増え、日本のコメが美味しいということは浸透し始めているが、現地で販売されている中国で生産された日本米のパッケージは「日本のコメより日本米らしい」と部長氏が苦笑いするほどの出来栄えで、裏面の産地表示を見ない限り、そのコメがどこで生産されたものかは分からないという。
また、中国側の放射能規制で有力産地のコメは輸出出来ないなど品揃えは十分でなく、オープンから1カ月経過した現在一日当たり20袋程度しか売れておらず、採算ラインには程遠いが、日本産のふりかけや海苔のほか、人気があるのがコメで作ったジェラートで、これを買った中国人がSNSで情報発信、徐々にこの日本米専門販売店の認知度が上がり、同時並行的に日本米の通販を手掛けて販売量を増やしていく方針―といった状況であった。

【中国内流通事情も日本米高価格の要因に】

こうした状況は現在でもさほど変わっていない。他社の状況にも触れてみたい。
平成28年11月に北海道知事やホクレン会長らと一緒に北海道産ゆめぴりかの中国向け輸出プロモーションイベントを開催した木徳神糧。同社に令和2年産米の中国向け日本産米の輸出数量を聞いてみると「200t」という返事であった。コロナ禍で様々支障があったことは容易に想像できるが、それにしても少な過ぎる。
3年産米の計画はいちおう倍増の400tに置いている。いちおうと表現したのはこの数量が確実に中国に輸出されると決まったものではないからである。この計画は、水田リノベーション事業で輸出用米についても助成額が加算されたことから産地側との契約で仮置きした数量である。
同社の名誉のために付け加えるならば、これまで中国現地で日本米輸出拡大のために手をこまねいていたわけではない。大連に自社支店を構え、富裕層が多い上海、広州といった地区の高級スーパーや日本食レストランなどに販促をかけたが、採用されたところは少数に留まった。
スーパーでは日配品になるまでのボリュームに達せず、売り棚から外された。その原因は、高級米をイメージした日本米をどのように現地の高級米と差別化するのか難しかったことと、何よりも価格が高過ぎることにある。現地の高級米と比べても日本米の販売価格は3倍から5倍の価格になってしまう。

関連記事

powered by weblio