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特集

中国が日本のコメを変える


これまでの上場商品ともっとも違うところは、3年先まで売り買いがなされることで、具体的には取引の開始日令和3年3月22日には、令和3年11月限、令和4年11月限、令和5年11月限の3限月が売り買いされる。これは新潟県が長期スパンの輸出促進に力を入れているため。また、玄米のカドミウム含有量の検査が必要で、この場合、国内の基準0.4PPMより厳しい0.1PPM以下をクリアーしなくてはいけない。
ところが取引の制限として、(1)1番限の売建玉を有する者のうち新規需要米を申請した者については買戻しによる取引の結了を行なってはならない、(2)新規需要米の申請をしたものは遅滞なく本所に届け出なくてはならないなどが課せられる。
なんとも規制が多い先物取引で、案の定取引が始まってから3カ月が経過したがいまだに1枚の成約もない。これは当たり前の話で買戻しが出来ない先物市場など世界のどこにもない。堂島取は農水省の要請でこうした商品設計をしたのだが、まずやるべきはこうしたわけのわからない規制をコメ業界から取っ払うことで、そうしないといつまでたっても中国向けどころか世界各国に向けての日本米輸出は本格化しない。

【コメ先物本上場と現物市場設立】

株式会社になった大阪堂島商品取引所は名称を堂島商品取引所と変更した。文字通り日本を代表する商品先物市場へ衣替えすべく、コメ以外に金属や原油など様々な商品を上場する計画を有しているが、まずは土台と言うべきコメをどうするのかというのが目下の最大の懸案事項で
ある。
第一に8月にはコメが本上場の認可を得られるか否かが最大の焦点になっている。コメは平成23年8月に試験上場という形で先物市場に上場されたが、以来5回にわたって試験上場の延長が繰り返されている。その意味では今回8月は再延長はあり得ず、本上場か、さもなくば上場廃止ということになってしまう。
本上場を勝ち取るために資本金を20億円に増強、株式会社に移行したとも言えるが、それだけで本上場が勝ち取れるわけではない。本上場を勝ち取るには産業インフラとして機能を発揮できる「十分な取引量があるか」ということと「生産・流通に寄与しているか」の2つをクリアーしなくてはならない。これを判断するのは主務官庁である農水省だが、本上場になるか廃止になるかで日本のコメの行く末が決まってしまう。
これまでのコメ政策は市場を無視して様々な政策が立案された。その結果コメが産業とならないばかりか、市場がシュリンクし生産現場が疲弊、安楽死を迎えようとしている。こうした政策を根本から作り変えるには何よりも「市場」に向き合った政策に大転換しなくてはならない。だからこそコメ先物市場での本上場認可は絶対必要条件なのである。

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