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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

シンガポール共和国 大麻草の栽培は全面禁止ながら合成生物学×細胞農業でアプローチ

シンガポールは、マレー半島の先端にある東京23区ほどの面積の島国である。人口は570万人。海洋航路が交差する地理条件を活かし、アジアの交差点として発展してきた都市国家だ。地理的にはほぼ赤道直下にあり、年間を通じて高温多湿な四季のない熱帯気候に属する。
農地は国土の1%しかないので、食料の約9割を輸入に依存している。2030年までに食料自給率を30%に引き上げることを目標に掲げ、19年からは、細胞培養肉などのフードテックやアグリテック(農業技術)を次の成長産業と位置付けて、産業育成を本格化した。コロナ禍に伴うサプライチェーンの遮断を受けて、投資はさらに加速しているという。また、同国では20年末に、動物の細胞から人工培養でつくる「クリーンミート」(屠殺された動物由来ではない食肉)の販売を、世界で初めて承認したことで話題となっている。

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シンガポールが今日のように経済的に発展した歴史は、イギリスの植民地として貿易拠点になったことから始まる。1824年にシンガポール、ペナン、マラッカ、ラブアンで構成する海峡植民地が設立され、東インド会社による統治が始まった。この頃のイギリスは、中国(清)との貿易赤字を解消するために、インドでケシから抽出したアヘンをシンガポール経由で販売し、莫大な利益を得ていた。後に、アヘンの蔓延を阻止しようとした清と対立してアヘン戦争(1840~42年)が勃発する。この戦いに勝利したイギリスのアヘン貿易は、1912年のハーグ阿片条約で制限されるまで続いた。西欧諸国にとってアヘンが貿易品としても税収源としても重要だったことがうかがえる。

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