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Economic eye

世界は再び中国を軸に動くか? 中国は人手不足突入、技能実習生の確保策


中国はコロナ以前に戻ったようだ。世界各国はまだコロナと闘っている最中であり、中国との経済格差が開きそうだ。中国台頭は米中貿易戦争、新型コロナ禍で中断したが、元に戻った。中国の台頭が著しいため、欧米先進国側は受け身に回っている。「中国包囲網」もそうであろう。日米豪印4カ国の首脳や外相による安全保障や経済を協議する枠組みである「クアッド」(Quad)も、中国が強くなったので、単独では対抗しきれなくなった結果の対応であろう。
これからは再び、中国の動きが世界を走らすことが多くなりそうだ。“世界を見る新しい視点”を用意する必要がありそうだ。
さて、中国の人手不足、賃金上昇は、世界経済に大きな影響をもたらすであろう。一つは物価上昇が全世界に伝播していく。日本は長年、デフレ、物価下落に悩んできたが、先進諸国も物価安定が続いた。経済のグローバル化に伴い、発展途上国から安価な工業製品が流れ込み、世界で価格破壊が進んだからだ。デフレ脱却を目指した日本の「アベノミクス」が成功しなかった理由もそこにある。
その最大の「元凶」は中国であった。世界の工場と化した中国から、低賃金で作った工業製品が世界中に輸出され、お陰で各国は安価で工業製品を享受してきた。先進国の物価安定の一番の要因はここにあった。
しかし、今や、これが逆回転しそうだ。中国の賃金上昇が目立ってきた。やがて物価上昇しよう。中国の輸出価格が上昇すれば、今まで先進諸国の物価安定をもたらしていた要因が消え去る。中国の動向は、今度は先進国の物価上昇要因となる。幾つかの個別商品では、すでに中国発の価格上昇が始まっている。「デフレ輸出国」から「インフレ輸出国」に変わりそうだ。
もう一つは、中国の出稼ぎ労働者の動向に与える影響である。一時に比べると減ったとはいえ、日本は中国からの技能実習生に大きく依存している。中国で労働力の供給不足が発生すると、外国人技能実習生の確保が難しくなる心配が出てくる。
結論から言うと、まだまだ中国人技能実習生の流入は続くであろう。枯渇はない。若い人たちは、外国に出て勉強したいと思っている。また、自国が豊かになった結果、逆説的であるが、収入を気にしなくなってきた。かっては自国の3倍の収入を望んでいたが、最近は所得選好は低くなった。手取り15~16万円で来る。
14億人の人口大国である。日本に行ってみたいと思われている限り、10万人程度の技能実習生の来日は期待できる(0.007%の誤差範囲)。日本が民度高く、魅力のある国と思われるソフトパワーを持っている限り、中国人実習生の枯渇はない。外国人技能実習生を確保できるか否かは、中国問題ではなく、日本問題である。

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