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新・農業経営者ルポ

“成田の石油王”が挑む 進化し続ける水田経営


とはいえ、現段階で子実トウモロコシは儲かる作物にはなっていない。だが、経営のリスクヘッジになるだけでなく、水田農業では知りえなかった情報やネットワークにアクセスできるようになり、視野は確実に広がった。
近年は天候リスクが高まり、毎年、水田農家は我慢と選択を強いられている。6~10月は長雨や日照不足、台風、大雨が避けて通れない。天候が安定する冬の圃場づくりに時間をかけて、水稲でも、乾田直播、湛水直播、移植体系を組み合わせたり、大豆やトウモロコシを作付けしたり、同じ工程でも複数の作業を想定している。これまでは、技術やコストや労力を総動員して、最大の収穫を得る方法を極めていた。今年はそこから技術を厳選する、いわば「引き算」による最適化を図っている。
小泉には高校生の長男を筆頭に3人の子どもがいる。最近、長女の中学校からの宿題で書いた作文に、熱い思いを綴った。
「自分がやりたいことがあって、それを達成しようと思わなければ、お金を生み出さないし、社会に貢献できない。そこを目指すことが重要だよ。勉強だけできたらいいということではない」
いつか彼らに「凄いことやってるじゃん」と言われたい。そのために頑張っていると語る小泉には父の顔が覗く。まっとうな生き方を貫くためにはビジネス哲学や経営ノウハウも必要だが、それ以上に投下熱量の合う人の応援が欠かせない。若い頃から継続してきた小泉流のフレキシブルな経営は、進化を続けている。 (敬称略)

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