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特集

AGRI FACT(前編)


このように、出発点からして怪しいグループなのですが、そのDPJが設立3周年記念イベントなるものを開くという情報を耳にしました。「え? 周年を記念するようなものなの!?」と驚きましたが、トンデモハンターとしてこのイベントに参加しないわけにはいきません。というわけで、私も参加してきました。内容はトンデモワールド全開でした。

【「量の概念」がすっぽり抜けた雑な講演】

イベントはオンラインで行われ、主に3人のパネリストが順番に話す形式でした。一番気になった点は、リスクを語る上で必要不可欠な「量の概念」がすっぽり抜けていることです。「量の概念」とは「一度に、または一生でどのくらい摂取したら」影響があるのか、という考えです。たとえば、塩の食べすぎや日光の浴びすぎは害を及ぼしますが、ゼロにするのもかえって健康によくないですよね? 逆に、人間の生命維持に欠かせない水にも致死量があります。このように、リスクの世界で「量の概念」は無視することができないのです。講演では最後まで量の概念が無視され、「グリホサートは少量でも危険だという研究もあります」という極めて雑な説明があるのみでした。
このほか、パネリスト同士が矛盾を起こしているのもしばしば。1人目が「科学の進歩はすさまじく速い!(だから科学怖い)」と言ったかと思えば、2人目が「科学の進歩は遅すぎて、自然に敵わないのです!(だから自然すごい)」と言ってみたり、1人目が「特定の虫だけに効く農薬、草だけに効く除草剤なんてあるのでしょうか? そんなはずはない! 人間など他の全ての生物に影響があるはずです!」と言ったかと思えば、2人目が「農薬が効かない虫、除草剤が効かない草が出てきている!」と言ってみたり。「なんで仲間同士、盾と矛に分かれているんだよ!」と他人事ながらハラハラして見ていました。
反対に、3人が妙に一致していた点も。それは、全員同じように「~というわけで、学校給食を有機に変えるべきです。みんなで声を挙げましょう!」と締めくくること。どういう訳か3人とも「まあ、禁止するのは大変だし、とりあえず給食を変えればいいんじゃないですかね? あまり厳しく言うのもねえ」と最後に突然トーンダウンするのです。え? あんなに危険性を訴えていたのに、グリホサート禁止を主張しなくていいの? 給食だけ有機にすればOKなの? 給食を食べない人たちはいいの? と疑問がいくつも湧いてくるのですが、一番の疑問は“食の安全とリスク”というテーマで、足並みの揃った社会活動を呼びかけている点でした。

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