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スマート・テロワールの実践者たち

農業×若者×ITが爆発的進化を遂げる月山高原 山形県鶴岡市/岡部 勝彦 氏((有)佐藤測量設計事務所)高田 庄平 氏(ベジパレット)


いずれも、まるでプロの手による映像作品のようだが、庄平氏が自分で、傍らにドローンを飛ばして撮影しているのだという。筆者のように、テレビにアンテナと丸いチャンネルが付いていた時代に育った世代の皆さんに申し上げたいのだが、彼らは黒電話のダイヤルを回すことには慣れていなくても、ドローンや動画編集ソフトを駆使することはでき、世界中に情報を発信して、ネットを通じて連携する力を持っている。我々旧世代が、彼らのやっていることと、その先にある未来を理解するのは、幕末の剣術師範が渋沢栄一の財界活動を理解しようとするのに近い。つまりは無理であり、しかもこれからの時代を勝ち取るのは彼らであって当方ではない。我々旧世代にできることは、彼ら世代の迅速な進化を、とにかく妨げず応援することだけだ。自信のある方は、勝海舟を目指すのも一手であるが。
庄平氏は、「これまでの短い間にも、自分たちは、新規就農者がやりそうなあらゆる失敗を重ねてきました」と語る。だが彼らは、失敗としての失敗をしているのではなく、成功に向けた失敗、トライアンドエラーの過程としての失敗を重ね、その経験を科学的に解析して次につなげているのだ。

土壌分析・生体分析からPDCAを回す

農業は年をサイクルとするので、農業者一個人にとって、第一線でトライアンドエラーできるチャンスは30回程度しかないことになる。その限界に早くから気づいた庄平氏は、全国の先人たちや同志たちと連携することで、実践結果の情報量を加速度的に増やそうと志している。
連携先の筆頭は、山形県の内陸部、最上地域の真室川町にある「ワーコム農業研究所」だ。この会社は、山形牛を肥育する畜産農家が創業。現社長の栗田秀幸氏は、畜産の副産物である液肥を使った土壌改良を、科学的な土壌分析手法を駆使してコンサルしている。
その指導の下、ベジパレットでは化学肥料の代わりに畜産と連携した有機肥料を導入。作付け前と収穫終了後に、人間ドックのように畑の土を総合的に分析している。加えて、土壌と植物体の成分の過不足を、生育中に何度も血液検査のように定点観測。同じ作物について、改良した畑としない畑での同時栽培を行ない、効果の定量計測もしている。
その結果、どういう肥料成分がどういう環境要因と絡み合って、良い結果、悪い結果を生んだのかを特定し、次期作での改善ポイントを策定する、というPDCAサイクルが回る。

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