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スマート・テロワールの実践者たち

農業×若者×ITが爆発的進化を遂げる月山高原 山形県鶴岡市/岡部 勝彦 氏((有)佐藤測量設計事務所)高田 庄平 氏(ベジパレット)


ベジパレットのようにIT人材が農業を創業することは、このようなギャップを埋めて、一気にクリエイティブな事業革新を進める鍵になるのではないだろうか。

「あすの農業専門家」に向けて

ITを活用し、爆発的なペースで農業のイノベーションを進めるベジパレット。庄内平野の一画にそびえる、羽黒神社の大鳥居の横の平地では、湿田を畑に転換する事業にも挑戦。輪作体系の確立も進めるなど、スマート・テロワールを構想に終わらせないための、様々な挑戦を日々進めている。
すでに紹介した彼らの動画サイトには、彼らと連携する全国の意欲ある若手農業者との、交流の情報も盛られている。いずれも30代以下、デジタルが当たり前になった後に育った世代だ。
彼らが農業を創業し、事業を拡大していける時代となったのも、後継者のいない農地の流動化が当たり前となり、かつ、コストダウンに向けた競争ではなく、価格=付加価値を高める方向での競争が、普通に行なわれるようになってきたからだ。彼らを支えるのは、しがらみなくいいものを購入するプロの商業者や調理業者の増加である。
こうした自由な参入と、参入者個人の創意工夫の余地は、今や製造業でも商業でもなく、むしろ農業においてこそ大きくなっている。庄平氏は、「農業は、人々の人生をより豊かにすることができると信じています」と語るが、これは時代の風を真っすぐに受ける多くの若者も共有する実感だろう。
そう語る筆者は、農業者ではないただの地域振興評論家で、元は山口県の工場町の、化学メーカー勤務の技術屋の次男だ。
だがベジパレットの活動を見るにつけ、故郷出身の数少ない偉人である児玉源太郎(日露戦争下、合理的な戦法により旅順要塞を陥落させ、後には台湾総督として現地の人材育成や殖産興業に力を注いだ)の、名言の一つを思い出す。「諸君はきのうの専門家であるかもしれん。しかしあすの専門家ではない」。農業においても、昨日のノウハウが明日にはまったく通じないという、劇的な変化が、むしろこれから訪れるのではないだろうか。
だが昨日の専門家であっても、昨日までの知識経験と、それに明日への謙虚さがあれば、明日の専門家を雇い、育て、あるいは協働することはできる。月山高原に、農業×若者×ITの恐るべき進化の今を学び、明日を予想することは、すべての農業経営者にとって意義深いことだと確信する。

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