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土門「辛」聞

税制史上稀な不公平税制 “農協特例”の欠陥部分を暴く!

農協等特例・卸売市場特例―ひっくるめて“農協特例”と呼ぶこともある。米や野菜など農産品に対する消費税の仕入れ税額控除の特例措置のことだ。
「卸売市場や農協等を通じた出荷は、どの生産者の農産物かを把握せずに流通する仕組みとなっており、売り手である生産者自らが買い手を見つけて適格請求書を交付できない事情があります。このため、卸売市場や農協等が販売の委託を受けて行う農林水産品の譲渡等(農協等については無条件委託方式・共同計算方式によるものに限ります)については、生産者の適格請求書等の発行義務は免除されます。また、買い手は卸売市場や農協等から交付を受けた書類の保存で仕入税額控除ができる特例が措置されました」
筆者が、この問題に関わったのは、18年12月中旬のこと。当時、総務課長の、この説明は脳裏にこびりついている。
「インボイス制度導入に伴う仕入れ税額控除は、国会で決まったことなので、これをひっくり返すのはかなり難しい」

農協等や卸売市場が最大のネック

国会で決まった特例措置の3要件は次のように整理できる。
(1)農協等や卸売市場
(2)無条件委託方式
(3)共同計算方式
そこで総務課長には、米集荷を例に、(1)は別として、商人系集荷業者は、いまも実際の取引では、農協と同じように無条件委託方式で集荷、共同精算とうたってはいないが、かかった経費をプール計算して販売代金の中に含めて代金決済をしていることを一応は説明しておいた。
農水省のパンフレットには、なぜか(1)の要件を説明した注釈はなく、(2)と(3)にだけ次のような注釈が細かい字で書かれていた。
無条件委託方式―生産者は、出荷した農産物について、売値、出荷時期、出荷先等の条件を付けずに、その販売を農協等に委託する。
共同計算方式―一定期間に農協等が出荷した同種、同規格、同品質ごとの農産物の平均価格によって精算する(全体の販売代金について、農協等が手数料を控除した上で、生産者全体で分け合う)。
(1)の注釈がないことは不可解だ。パンフレットを目にした商人系集荷業者の大半は、(2)と(3)の注釈だけが書いてあるので、これならクリアできると膝を打つが、後で(1)のハードルの高さを知って、ああやっぱりダメかと思ってしまうのだ。
(1)の要件については、国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」で、特例扱いになる該当組織と準拠法が確認できる。林野と水産もあるが、ここでは農業関係のみ紹介しておこう。

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