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新・農業経営者ルポ

農民であっても、義のために闘うサムライ。


養父市のような中山間地の農業で大規模化は無理だと思った。美味しいコメはできるので、どう付加価値をつけ、そして自分が作ったものの価格を決められるようにするのはどうすればいいのかを考えた。例えば、1俵60kgを出荷すると1万2000円ぐらいとなる。それではあまり利益は出ない。そこで、おにぎりはどうかと考えた。60kgのコメからおにぎりは約1400個作れる。仮におにぎり1個が100円としたら14万円になる。コメとおにぎりの間の価格の開きは大きい。ここに商機があると考えた。
岡本が考案したのは「ふるさと弁当」だった。地元のコメやふるさとの食材を地元で料理し、弁当の形にして冷凍して輸出する。国内で販売してもいい。それは、農水省の提起している6次産業化に合致している。そして、その情報を発信する農家レストランをつくることを考えた。国家戦略・農業特区での農地利用の規制を外し、さらに大きく展開できると踏んだ。
しかし、養父市の人たちは、経済特区になったことに満足してあまり動かなかったので、2016年には撤退することにした。
他方、岡本は自分が持つ「水耕栽培の特許技術」を、田原市の障害者を雇用しているNPOや、山口県の福祉施設であるむべの里などに貸している。この水耕栽培で作った野菜(主にリーフレタス)を販売することで身障者らの自立に貢献したいと思った。
「トヨタのレクサス工場があれば田原市が豊かになる」という考えは危険だと警鐘を鳴らす。渥美半島内に農家の産直市場と巡回バスのステーションをつくる。渥美半島の公共交通網を整備することによって、田舎の自立をもくろむ。田原市の豊かな農産物が本質的な価値を生み出す。田舎を豊かにするのだ。
農家のしがらみや既存の権益など、複雑で蜘蛛の巣のように張り巡らされているが、それを打ち破っていこうと考えている。

強い農業づくりの規模拡大は農家を破滅させる。

大規模化すれば農業は儲かると言われているが、嘘ばかりだ。160haも耕作すると、機械が簡単に壊れてしまう。国内大手のあるメーカーの農業機械は全く持たない、すぐに壊れてしまう。耐久性がないのだ。結局、日本の農業機械メーカーは、兼業農家用の狭い面積の稲作を想定しており、1年で160haも使うと機械の寿命が簡単に来てしまうのだ。機械の法定償却の期間が3分の1で寿命が来てしまう。とにかく、コメ農家から「これ以上稲作りができない」と言われ、依頼されたら受けて来た。しかし、経営的に成り立たない状況で、このまま続ければ破滅を迎える。田んぼがそれぞれ小さく、作業効率が悪い。これからは、受けるにしても、作業しやすい田んぼだけを受けるようにしたいと考えている。

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