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これだけの規模の事業をするなか、正社員3名、パート2名、インドネシアの研修生が4名となる。生産だけを考えると、仕事の平準化は極めて難しい。
農業経済特区での「ふるさと弁当」の提案は、これからの時代に合致していると考えた。農地を持っていて農家しかできない農産物をどう作るかを考え、4年ほど前から、農薬、化学肥料、そして有機肥料も使わない自然農法に取り組んだ。一番の問題は雑草対策であるが、生やしていい雑草と取るべき雑草の区別を少しずつしている。自然薯や伊勢芋、大和芋ができることがわかり、その生産拡大を始めた。大麦、大豆、小麦の自然農法もはじめ、現在合わせ味噌と豆腐を作っている。漁師でもあるので、ハゼと小サバで調味料も作っている。その調味料を使って、とろろセットも作り始めた。
また、同じように自然農法の手法で、温室に熱帯果樹を作り、バナナやライチ、パッションフルーツなどを作ったが、熱帯果樹の中ではパパイヤが一番有望だと思っている。新鮮組で農業女子チームを作り、自然農法で作った作物を使っての商品開発も始めた。
妻が経営している海の見えるオーガニック・ビーチホテルで、「ふるさと弁当」の商品を食事やお土産に提供して、ネット販売を作り上げていく。田原における特産品づくりによって、生産物を加工品にすることで、自分の手で作り、自分で価格を決めて、農家から農業へと変身することを目指している。
農薬、化学肥料、有機肥料を一切使わない「ふるさと弁当」商品は、ブランド化して販売していく予定である。消費者の求めるものを作っていくのはいうまでもない道理だ。
取材を終えて
農協なんていらない、補助金なんていらない、農家を潰す農協とは徹底して闘う。消費者と市場を意識して、消費者の求めるものを作り、販売力をつけることによって、経営力をつけて、農家として自立した道を「新鮮組」として、岡本は取り組んでいる。
私は、彼と話しながら、「常在戦場」という言葉を思い出した。農業をするというのは、自然条件、土地の環境条件、そしてその周りの人たちの中で、自分が信じていることを実現するために、時には闘う必要がある。そのような強い想いで行動しているのだ。現在稲作は160haで多くの人から委託を受けている。そして、田原市の市会議員にもなっている。変人と言われながらも、人望があることを感じさせる。
岡本は、「若い人には農業生産だけの農家という同じ道を歩んでほしくない。破滅の道を歩むことになる」という。若い農業者は、彼の破天荒さの本質を学んでほしい。あるべき農業を模索し、実行して、突破していく姿を。
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岡本重明 オカモトシゲアキ
農業生産法人(有)新鮮組
代表取締役
1961年、愛知県生まれ。高校卒業後、祖父の跡を継いで就農。93年、農業生産法人(有)新鮮組を設立。2001年、農協から脱会。著書に『農協との「30年戦争」』(文春新書)などがある。
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