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「四大商品のサプライヤーの状況を見るに、企業数や企業のアプリケーション(プログラムやシステム)の種類によれば、目下、市場の供給構造においてデータプラットフォームのサービスが主要な地位を占め、その次に精密な飼育のソリューションが来る」
そのうえで、それぞれの比率を次のように分析している。
(1)データプラットフォーム:65%
(2)精密な飼育:26%
(3)ドローン:7%
(4)ロボット農機:2%
センシング技術に強み
各技術を簡単に紹介する。まず(1)データプラットフォームは、人工衛星やドローン、据え置き型のセンサーなど、さまざまなセンシング技術などで情報を収集し、プラットフォームを構築する。中国ではこれらのセンシング技術をまとめて「空天地一体化」と呼ぶ。人工衛星は「天」、ドローンは「空」、ほかの地上にあるものは「地」というわけだ。
本連載の第1回で紹介したドローンメーカーのXAGによる農業プラットフォームの構築、第2回で紹介した四維地球(四次元の地球)をはじめとする衛星活用などが該当する。中国は衛星だと、中国版GPSと呼ばれる独自の衛星測位システム「北斗(Beidou)」を持つ。ドローンのシェアは圧倒的だし、センサーの製造メーカーも少なくない。データプラットフォームを構築する条件は、恵まれている。
衛星測位対応農機が倍増
(2)の精密な飼育は、リモートでの監視、個体に合わせた精密な給餌、センシング等による病気の予防などがある。ブタやウシの技術が花形で、ヒツジやニワトリもある。次世代通信システム「5G」がカバーする養豚場が出現し、アリババや京東といったネット大手が養豚の精密管理に乗り出している。養豚のスマート化は、第3回、第4回の2回にわたって紹介した。
(3)ドローンは、シェアトップのDJI、農業用ドローンでは先駆的存在のXAGを筆頭に競争が繰り広げられている。第1回と第5回で紹介した。
(4)ロボット農機は、農機のガイダンスシステムや自動操舵技術など。このところ、増加が目覚ましい。20年時点で独自の衛星測位システム・北斗の受信端末を搭載した農機は、2.3万台になると農業農村部が発表している。19年に比べ4倍になった。
ドローン活用で日中に差
中国でスマート農業技術が広がりつつあるのは、やはり政府の財政出動、つまり補助金があるからだ。ただ、日本と使われ方が同じかというと、そうではない。特にドローンの使い方はかなり異なる。
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山口亮子 ヤマグチリョウコ
(株)ウロ
代表取締役
ジャーナリスト。2010年、京都大文卒。13年、中国・北京大歴史学系大学院修了。時事通信社を経てフリーになり、農業、地域活性化、中国について執筆。⑭ウロ代表取締役。農業や地域のPRを目的としたパンフレットや広告、雑誌などの企画・制作のほか、ツアーやセミナーの運営を手がける。著書に『図解即戦力 農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(共著)がある。
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