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日本だと、ドローンを購入するのは、ほとんどが農家だ。ドローンは年に数回活躍するだけで、倉庫にしまわれる。一方、中国だとほとんどが「植保隊」と呼ばれる散布業者だ。植保とは植物保護つまり、作物の防除を指す。何人かのオペレーターを擁し、農繁期に面積当たりの単価を決めて散布業務を請け負う。
農業用ドローンで有名なXAGは、技術開発のために早くから自前の植保隊を結成していた。植保隊には、新農人が起業して作ったものもあれば、農薬の販売代理店が顧客確保のために散布サービスまで手掛けるようになったものもある。
特定の地域で活躍する業者もいれば、需要を追って各地を移動して回る業者もいる。全国的に移動してドローンの稼働率を上げる手法は、日本でも見習っていいはずだ。中国の農業用ドローンは、稼働率を上げて使い倒す前提で開発されているのだから、1年のほとんどを倉庫に眠らせておくのではもったいない。国内でも、呼ばれればどこにでも駆け付ける散布業者を知っているけれども、主流ではない。
桁違いの市場は一層巨大化へ
中国のスマート農業市場は、今後一層、拡大するだろう。ネット大手が農業向けにシステムを開発したり、不動産大手が養豚業を始めたりと、異業種が本気で参入している。市場の巨大さは、何と言っても中国の強みだ。
ドローンだと中国の技術が日本にもたらされているけれども、日本の農機メーカーが中国で市場を築いたように、日本のスマート農業技術が中国で使われる可能性も高い。スマート農業の国内企業は、日中の農業の条件が似通っているだけに、はなから中国市場をにらみつつ製品開発をする方が良いのではないだろうか。なんといっても、市場規模が桁違いなのだから。
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山口亮子 ヤマグチリョウコ
(株)ウロ
代表取締役
ジャーナリスト。2010年、京都大文卒。13年、中国・北京大歴史学系大学院修了。時事通信社を経てフリーになり、農業、地域活性化、中国について執筆。⑭ウロ代表取締役。農業や地域のPRを目的としたパンフレットや広告、雑誌などの企画・制作のほか、ツアーやセミナーの運営を手がける。著書に『図解即戦力 農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(共著)がある。
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