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土門「辛」聞

全農・農協に降りかかる 堂島先物をひねり潰したツケ

後味の悪い幕切れだった―。 大阪堂島商品取引所(現:堂島取引所、中塚一宏社長)から出ていた米先物市場の本上場の申請を農水省が不認可とした経緯だ。
不認可の正式決定は8月6日。後味の悪さを印象づけたのは、取引所の実質オーナーであるSBIホールディングスの北尾吉孝社長が、その3日前に産経新聞の取材に応じて暴露した不認可に至る内情だ。「一部族議員のおかげで9割賛成だったのに急遽反対に回った」(同3日付け同紙)。
土壇場で認可が覆ったことをうかがわせるコメントだ。北尾発言を裏付ける実に面白いエピソードがある。本上場必至とみた全農米穀部の対応ぶりだ。米穀部内部に通じた農業関係者から得た証言。
「全農米穀部は、早くに本上場必至の情報を入手していました。それに備えて先物市場の研究に着手、堂島での先物市場の仕組み、堂島が使っているSBIのシステムなどをテーマに勉強会を開いて研究していた矢先に、不認可の報を受けて拍子抜けしていたようですよ」
これまで先物市場には背を向けてきた全農でさえ、本上場に備えてトレーニングしていたぐらいだから、農水省は間違いなく認可する方向だった。

ゴールポストが動いている

どんでん返しは土壇場で起きた。7月29日、堂島が急遽中塚社長の記者会見。直前に不認可の方針が農水省側から伝えられたからだ。農水省が申請当事者から意見を聴く聴聞会(8月5日)のちょうど1週間前の出来事だった。
看過できないのは、中塚社長が「ゴールポストが動いている。なぜ不認可なのか分からない」(8月2日付け産経新聞)と言及した点。ゴールポストとは、認可の審査基準のことである。それが動くということは、認可の審査基準の解釈について農水省が途中から変更したり、申請後に新たな基準を設けたりしたことだ。
農水省にゴールポストを動かせた犯人も浮かび上がってきた。たまたま同日のSBI決算説明会後の記者会見で、北尾社長が「極めてばかな族議員がいる」(同3日付け産経新聞)と痛烈に批判。具体名こそ上げなかったが、自民党国会対策委員長の森山裕議員の名前がすぐに浮かんできた。

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