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第一に、自民党農林族議員の影響力の低下と様変わりである。かつては自民党の中でも総理総裁や幹部への登竜門と言われ、複雑な利害調整に力を発揮していた。しかし、その後なかなか専門家が育たなくなり、相対的な地位は低下していった。しかも農業の産出額の変化に比例し、「コメ族」から事実上「畜産族」としての性格を強めている。堂島の本上場を阻止したのは実は「畜産族」だったと言われており、コメを総合的に見て調整する農林族、コメ議員が見当たらなくなってしまった。
第二に、コメが政治のビッグイッシューからはずれてきたことがある。それには小選挙区と官邸主導、それに稲作経営の新陳代謝が関係している。
小選挙区制では、候補者は選挙区内の全ての人を対象とするため、国民の多くが関心を持つ大きな政策に一家言持たなければならなくなっている。どうしても総花的にならざるをえず、専門家が育ちにくい。さらに党内の意思決定メカニズムが官邸主導になり、政策に順番というか「事の軽重」がつくようになった。こうした中でコメは徐々にかつてのような大きな政治イッシューの座を譲るようになっていった。
第三に、稲作経営の新陳代謝である。コメ産業が急速に地盤沈下する中で、新しいコメ経営が登場するなど、コメ産業の急速な構造変化が進んでいる。新陳代謝を促すには、新しく登場してきたコメ経営者の支援にフォーカスするより他なくなっている。このことを自民党はよく理解していて、スマート農業や若者の新規就農等に前向きの政策をとろうとしている。コメビジネスはマーケットを見ながら行動する農業経営者の手に委ねられており、農協もそうした動きを後押ししはじめている。こうした中ではコメを保護的色彩で語っても農村に受けるとは限らなくなった。もはや米価を維持しなければ農村票が逃げていくという状態にはない。
【驚天動地、堂島先物の本上場不認可】
ただ、正直堂島の件は驚いた。確かに政治の力には凄いものがあると感じたが、こんなところで力を発揮してもらっては困るというのが正直なところだ。
この10年、堂島は4回にわたる試験上場を繰り返してきた。本上場に向けての準備も真剣に進めてきており、今回はさすがに認可がおりるものとの観測が広がっていた。農水省にも自民党農林関係部会では認可の方向で動いているという情報が入っていたという。それだけに、不認可は驚天動地の出来事だった。なぜ?の感が否めない。
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