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巷間では、今や農林族のドンとなった森山国会対策委員長(当時)の鶴の一声といわれている。SBIの北尾会長のビジネスのやり方を快く思っていなかったとか、衆院選での票が気になって農協の気に入らない先物をつぶした等々うがった見方が言われているが、真偽の程は分からない。それに今や農協は先物を異端視していない。
もっと驚いたのは、不認可を受けて、堂島は試験上場を繰り返すのかと思いきやさっさと撤退してしまったことである。コメ市場は所詮儲からないからいつまでも族議員のおもちゃにされたくないという思惑が働いたのだろうか。「完全撤退」と言えば潔いが、もともと「不認可なら完全撤退」と農水省に圧力をかけながら交渉に臨む堂島の手法も政治家的な手法であまり感心しない。
先物はコメの指標価格を提示するインフラの一つになる可能性があった。コメ産業の重要な社会的インフラの一つという強い認識が、農水省や農林族だけでなく、当の堂島にも欠けていたのではなかったか。
私は、せめて試験上場延長といったところが一つの落としどころだったと思うのだが、如何なものだろうか?
【農林族はなぜ調整できなかったのか】
その後、「指標価格」がなくなってしまうといった危機感からか、自民党は現物市場を作ると言い出した。そうであれば、堂島先物に試験上場を続けるよう「ささやく」コメ議員がいても良かったはずである。だが農林族にはもはや責任を持ってコメを仕切り、責任を持って「ささやく」人がいなくなってしまった。
農水大臣、農林部会長、農林水産委員会の委員長経験者などがなっていく農林族は、昔は硬軟使い分けながら調整をうまくやったものだ。2007年の農政の逆流の頃は、西川公也氏など少々荒っぽい調整の仕方だったとは思うが、それでも農林族としての存在感を示していた。
それが様変わりした。まずリタイアする農林族が続いた。西川公也、吉川貴盛、宮越光寛の諸氏である。残った農林族で力を持っているのは、日本の大農業地帯、鹿児島・宮崎の議員である。森山裕、江藤拓、野村哲郎の諸氏がいるが、いずれも「畜産族」でコメにそれほどの思い入れがあるとは思えない。
他の農林族といえば、どちらかといえば理知的で昔のベトコン議員の様な荒々しいやり方はしない。なによりそれぞれに財務、防衛、経産、文教といった国家存亡に関わる別の本業をもっていて、保護農政を外から客観的に見られる人達が多い。林芳正、小野寺五典、齋藤健、塩谷立、宮下一郎といった諸氏である。
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