ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

堂島ショック コメ産業の社会的インフラ


コメ政策の対象は農業者だけではないはずだ。

筆者プロフィール
くろさき あゆみ 
1978年静岡市生まれ。共同通信記者、『週刊エコノミスト』編集者を経て2019年よりフリーランス。

【3】先物に取り組んできた私がいま思うこと 政治が関与しすぎればコメ産業の成長を阻害する/小林 肇 JA大潟村組合長

【コメ販売事業のないJA もともと価格動向には敏感】

今年7月中旬「どうやらコメ先物取引市場は廃止だ」という連絡が私に入ってきました。政治的に葬られてしまったのです。
コメ先物取引市場ができる5年ほど前、JA大潟村専務をしているときに「コメ先物取引市場試験上場」の話が自民党時代に話題になりました。JA大潟村は9000haのコメ産地でありながらコメ販売事業を持たない珍しいJAでした。
大潟村のコメの歴史は複雑でここでは説明を割愛しますが、JAがコメ販売事業を行なわないため、農家がグループを組み法人を設立し、食管法改正前から産直事業を行なっていたため、コメの価格動向については敏感で、JAが「コメ先物取引市場勉強会」を開催したとき、多くの農家が参加し熱気を帯びていたのを覚えています。その後、私が組合長となったあと民主党政権下で平成23(2011)年8月に試験上場されました。

【先物は経営判断の重要な指標になった】

私自身も10月にコメ先物市場を通じて「3月限」に200俵「売り」をかけたところからの付き合いとなります。結局は、12月に現物相場が上昇したので市場から「買い」の買い戻しを行ない、市場では損をしたけれども市場に預けたことにより、コメの現物を安売りすることなく所得が上がりました。だれにも迷惑をかけることなく精算ができ、安全で透明性のある市場であることがわかりました。
この取引や感想を「組合長ブログ」として紹介していたところ、コメ先物取引所の取引委員の目に留まったようで、大阪堂島商品取引所の岡本理事長と面談し、先物市場活性化に向けて協力していくことになりました。
一方、全国JA中央会の反応は、「生産調整を行なっている現在においてコメ政策との整合性が取れない」「主食であるコメを投機の対象にすることは許されない」と冷めた目で先物市場を評価していました。
しかし、コメの価格が出来秋にしかわからない状況こそが生産者にとってのリスクであり、価格上昇していれば増産、下落していれ他品種に切り替えたり、ほかの生産物に変えるなどの経営判断に利用できる有用性があります。

関連記事

powered by weblio