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特集

堂島ショック コメ産業の社会的インフラ


また、実際に売ったり買ったり現物のコメを持っている農家にとって、所得を確定できる市場であり、安全に精算できる市場であることなどを生産者へ説明して歩きました。
しかし、「先物取引」への負のイメージ、「先物投資で身ぐるみ剥がされる」というイメージと、JA界がこぞって反対運動をしているため、組合員農家への説明、理解不足が大きくのしかかり、市場取引を活性化させるまでにはいきませんでした。

【政治の関与しすぎはコメ産業の成長を阻害する】

2年前に「試験上場の再延長はない」と断言された以降、取引所の方々と東北を中心にセミナーを多数開催しました。私も壇上に立ちながら本上場に向けて説明を行なってきました。
ところが、自民党の農林族議員により本上場への圧力が強まったのと、これ以上の試験上場では運営が難しい大阪堂島取引所の判断で、市場閉鎖が決定されてしまいました。
この10年間、取引量は少しずつ増加し、コメ政策を妨害することのない市場だったにもかかわらず、廃止に追い込まれたのはとても残念でなりません。コメに政治が大きく関与しすぎることは、コメ産業の成長を阻害することにつながると感じています。
稲作農家が自分の経営を自分で判断するための経営指標として先物市場は有用でした。現にアメリカの農家はコーンの先物市場を利用しながらリスクヘッジを行なっています。
困ったら政治家を利用し何とかさせるのでは、いつまでたっても産業として自立していきません。日本の政治家もそろそろ感じとる時期に来ているのではないでしょうか。
そして、再上場を願っています。

筆者プロフィール
こばやし はじめ 
1967年生まれ、 新潟県新発田市出身。
秋田県立農業短大卒業後、米国で2年間農業研修を経て、(有)瑞穂設立、現在は(株)大潟村同友会。
2010年 JA大潟村代表理事組合長就任。

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