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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

コロンビア コカ・大麻の違法経済からの脱却と合法化による大麻ビジネスへの期待


前述した70年代の米国による薬物根絶キャンペーンは、コロンビア国内にコカイン製造のために武装した大規模な密売組織を生み出した。彼らはレプブリカ銀行による資金洗浄の仕組みを利用して経済力を得て、行政機関や警察、軍、政治家にまで人脈を広げて成長する一方で、反政府ゲリラ組織とも結びつき、内戦あるいは政情不安を巻き起こしてきた。
コロンビア政府は反政府ゲリラ組織FARCと50年間にわたる武力紛争を終結させる和平交渉で、違法なコカを栽培しないことを条件に大麻の栽培免許を交付するという仕組みで、小規模農家への支援策を提示し、免許交付の優先的な割当量を確保したのだ。
また、18年には政令1156号により植物療法製品という新たなカテゴリーが創設された。コカ、ケシ、大麻を厳格な医薬品よりも制約の緩いハーブ(薬草)として販売できるようになり、ドライフラワー(医療用乾燥大麻)の輸出措置も整備された。コロンビア大麻産業協会(Asocolcanna)によると、その輸出額は20年度に450万米ドル(約5億円)を超える。なかでもクレバーリーブス社は、同国でのヘンプ由来のCBD製品の生産量の約5割を占める。医薬品製造の品質基準であるGMPを取得した最新鋭の工場を備え、同国で最初に輸出を果たした。
同国で加速する大麻産業の課題は、免許申請数の増加による監督官庁の対応の遅れと、小規模栽培者と大麻は生物製造企業との連携やコカ代替作物としての支援、欧米市場が求めるGMPの取得である。長年のコカと大麻を巡る違法経済からの切り替えは、国際的にも大きな注目を集めている。

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