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■買取集荷
その名の通り、集荷時点で最終買取価格を提示して集荷する取引形態。商人系集荷業者はこれが基本。最終販売価格が分かるという安心感から買取集荷を評価する農家が増えている。一方、JAの概算金による集荷は、最終精算に至るのは、農家が新米を出荷してから早くて1年後。平均して2年はかかる。
■JAでも増える買取集荷
総合農協統計表によると、2019年度は全国のJAが取り扱った米の14.5%が買取集荷によるものだった。農水省がその統計を取るようになったのは17年度からで、その時点で10.7%。買取集荷は増えつつある。全農を通さず直接販売するJAに多い。
■概算金がない全農ちば
全農県本部でも買取集荷に切り替えた産地がある全農ちばは、18年産から買取集荷に全面切り替え。従って全農ちばとしての概算金はない。JAに提示するのは買取価格だ。支払いは、関東有数の集荷最激戦地であるJAかとりの場合、出荷3、4日後。競争関係にある商人系集荷業者もほぼ同じ。19年度に79.6%が買取集荷になった。総合農協統計表の数字だ。
■融資になる概算金
農家にとって概算金は、JAが全農に出荷した場合は、精算時点が決まるまで全農の融資という扱い。JAが直接販売の場合はJAからの融資になる。融資期間は、年末の精算があるまでの4カ月弱。比較的高い金利がつく。全農は、農林中金から資金を借りて融資に回す。農林中金の資金は、農家の貯金が源泉。これはあまり知られていない。
■相場実勢との乖離も
共同計算で 赤字を出した場合、全農やJAは仕入れ値を下げて埋め合わせる。そのツールとして使われるのが概算金ということを忘れてはならない。つまり概算金は必ずしも実勢相場を反映しているとは言い難い。とくに下げ相場で正確な新米相場をつかむには、全農・共同計算の内容を概算金に反映することが求められる。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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