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今年の市場相場を読む

夏場の安値から9月に高騰した野菜類 ハクサイ/レタス類/トマト/ナス

今年は8月下旬から9月上旬に、いわゆる「秋霖」前線が長期間停滞し、地場産地がダメージを受けた。そのため大型市場では、入荷量が変わらなくても転送需要が増えて高騰。日照が回復すれば作柄は回復するだろうが、8月下旬には例年以上に入荷が増えても高騰した。グラフには今年9月全体の入荷状況は反映させられなかったが、中旬までのデータをもとに、何が関連しているのか検証してみた。

ハクサイ/9月に入ると曇天続きで9割シェアの長野産が3割減に

【概況】東京市場のハクサイの入荷動向を20年9月~21年8月と2年前の同期間を対比してみると、年間の入荷数量は2%減程度で、ほぼ平年並みであるが、単価は2割ほど安くなった。20年は、夏場にコロナ禍による巣籠り家庭需要が突然発生し、ハクサイが高騰するという珍現象があったが、今年の8月までは2年前とほぼ変わらなかったものの、9月に入ると主産地の長野産が減り始め、中旬には2年前の3割減の単価2.4倍と高騰している。
【背景】秋になるとハクサイは茨城産というイメージだが、意外にも夏の産地・長野産が10月まではトップの座にいる。この長野産に、今年は8月末から9月の中盤にかけて、珍しく線状降水帯が襲来するなど曇天が続き、直接の大雨被害も含めて生育に大きな遅れが生じた。もともとこの時期には9割が長野産だが、この時期は北海道産も最終盤で、同様に数量を減らし茨城や群馬の前進出荷も功をなさず高騰。9月も終盤になって天候も回復して冬の心配はなさそう。
【今後の対応】9月に入ってからの入荷減と高騰は、まるで業務用需要が健在かのようだ。しかし緊急事態宣言の真っただ中で、この強い引きは「家飲み」など家庭需要である。9月に入ってからの曇天続きで気温が急激に低下し、鍋需要も出てきた。昨年、価格がよかったことで栽培面積を増やした産地もあったはずだが、また異常気象に持っていかれた。9月いっぱいで緊急事態宣言解除となったが、定着しつつある“年間鍋需要”に小型ハクサイの出番かもしれない。

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