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新・農業経営者ルポ

家族経営を法人化 危機からV字回復


「自前で加工するとなると、設備投資も大きいし、衛生面の手間もかかる。今は結構慎重ですよ」
長野自身も経営のために投資の取捨選択をするようになり、財務を担当する藍が「お金にシビア。僕は使う方なので、ちょうどいいかな」。

伸びしろは柑橘 新品種を栽培開始

グローバルGAPも取得した。整理整頓やデータの蓄積を求める考え方に共鳴したためだ。実際に安全や福利厚生の強化、効率化にもつながると実感した。ただ、もともと東京五輪への食材提供を目的に取得したため、現在は更新していない。
「会社の売上の半分くらいはタマネギで、これを安定的にやっていく。これからの伸びしろは柑橘」
こう将来を思い描く。そんな構想に基づき、愛媛県が開発した新品種の中晩柑を県内でいち早く導入した。栽培するハウスは間口が広く、木と木の間隔が開いている。「一本の木を横に広く育てることで、作業性を上げる」と洋平が解説してくれる。ビニールは表面に微細な凹凸のある梨地(ナシジ)で、「光を散乱させて、葉の裏まで光を届くようにする」(洋平)。3年後に収穫を始め、6、7年すれば本格的に市場出荷できる見込みだ。
農地中間管理機構の整備事業で、新たな農地の造成が終わったばかりだ。連棟ハウスや単棟ハウスを今後建設する。山を切り拓いたため、今は土づくりのためにソルゴーを緑肥として植えている。

35歳独立制度で農家を育成

雇用も、単なる労働力の確保から一歩踏み出してきた。
「この辺りの若手青年農業者の組織は人数が減るばかり。ここ北条(旧北条市)に限ると若干増えているんだけど、全体を見た場合、リタイアしていく人が圧倒的に多いので、管理できない農地も増えてきよる。農家が劇的に増えることなんかあり得ないから、今いる者が土地を管理していくしかない。雇用するのがハードルが高いので、僕らのところに人が集まってきている」(長野)
社員として雇用するだけでなく、独立を応援する「35歳独立制度」を始めた。19年、20年と相次いで社員が巣立っていった。残念ながら1人目は離農してしまったが、2人目は地元の女性と結婚し、アスパラやキャベツ、タマネギを生産している。アスパラは、もともとOCファームの一部門だったのを、独立に際してそっくり譲った。独立して経営する適性のある社員には、地域農業の担い手になってほしいと考えている。
「会社の理念に、地域から必要とされる会社でありたいというのがある。OCファームがあるけん、何かあったときに頼めるとか、あそこで勉強して独立できるようになったけん、農業者が増えるとか、そういうふうになってくれたらな」

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