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【ラウンドアップマックスロードの5リッター少水量散布という除草技術がもたらす経営的可能性】
麦栽培編
- 編集部
- 第1回 2021年12月24日
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課題が多い慣行の除草体系
麦の栽培での除草体系といえば、麦の播種前にロータリーハローで耕起したり、播種後で、麦と雑草の発芽前に、土壌処理除草剤を散布したりするのが一般的だ。茎葉処理除草剤のラウンドアップマックスロードは、その際に100リットル/10aの希釈水量で混用されることがまれにあるという程度にとどまる。ここにはいくつもの課題がある。
まず、耕起での除草が万能なのかと問われれば、否と答えざるを得ない。のちに雑草が生えてきて頭を抱えた経験を持つ農業者も少なくないだろう(右下写真)。特に水田土壌については粘土質で耕起しづらく、大きな土塊が残ってしまう。何度耕起しても既発生雑草(埋没株)は枯死せずに再生してくる。深く耕起したとしてもそこに存在した雑草の種子を逆に引き上げることになり、解決したかに見えてもそれは一時的なものに過ぎない。
次に、土壌処理除草剤を単独で使用する場合だが、水田土壌に発生するスズメノテッポウは一部除草剤に抵抗性を示している。畑土壌ではイタリアンライグラスやコヌカグサが問題となっており、せっかく散布しても意味をなさなければ、そこにかかる人件費や薬剤代、燃料代がすべて無駄になる。そればかりか、農研機構九州沖縄農業研究センターのデータによると、雑草害で麦の収量が32%減収したとの報告もある。
仮に薬剤の性能上、差し障りがなかったとしても、土壌処理除草剤を用いるにあたっては、前提として土壌条件を整えておかなければならない。土壌処理除草剤は土壌表層に有効成分の処理層を形成することで効果を発揮するため、粗い土塊のない丁寧な整地が求められる。通常は作業速度が時速2km前後のロータリーハローを除草も兼ねて数回施工するが、低能率ゆえに燃料代がかさむとともに、人件費も消耗部品である耕耘爪の費用も相当なものになる。
以上に挙げた課題に対し、効率的で速く、雑草もきちんと処理したうえで、麦の収量を向上させられればこの上ないわけだが、じつはその方法があるのだった(経営的可能性(3)の項)。
経営的可能性(1)給水回数の激減による効率化
経営的可能性(2)生産費の削減
JA本渡五和営農組合組織連絡協議会は2021年11月1日、ラウンドアップマックスロード専用ノズルULV5散布実演会を熊本県天草市で開いた。当地ではこれまで水田の畦畔にラウンドアップマックスロードを散布していた。今回のイベントを企画した同JAでTAC(担い手対応)担当の山下清弥さんは、大麦の生産に際してこの技術の可能性を次のように語る。
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