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しかし、パン用小麦として評価されるかどうかは製粉会社で製粉してもらわなければわかりません。製粉会社と契約するためにはある程度の量が必要になります。染野社長は担当していた普及指導員の熱意に応える形で、当時、縞萎縮病に悩まされていた「カシマムギ」(大麦)から切り替え、翌年には8haに播種し、約50tを収穫。実に先見の明に長けた経営判断をされたと思います。
さらに生産量を増やすために染野社長に誘われた4人の生産者が加わりました。私もその一人です。15年産は5軒で35haに拡大し、生産量も180tになりました。
一方の販路は大手の集荷業者には扱ってもらえず、なかなか見つかりません。事前に行なった市場調査では、製粉会社の評価も高く、製パン適性が高いとされている北海道産の「春よ恋」と同等の評価で、パン屋さんからは「使ってみたい」(34社中25社)、消費者からは「買いたい」(延べ1000名の約98%)という評価をいただきました。県職員の紹介で工場を訪ね、頭を下げてようやく契約してもらえたのが、千葉製粉(株)でした。
話し合いを重ねた結果、タンパク含有率が13~14%の小麦のみを出荷することを前提に、農協に出荷する民間流通麦より高い単価での購買契約を結んでいただきました。生産者が個々に契約する形で始まった取引ですが、高品質な小麦を栽培し生産量を増やしていくためにはきちんとしたルールを作ろうと、15年冬に立ち上げたのが「茨城パン小麦栽培研究会(以下、栽培研究会)」です。(高橋)
【栽培研究会の理念】
国産小麦は、気候変動の影響や、栽培・品質管理の経験不足等による品質のブレが実需者を悩ませてきました。生産年次によらず一定の品質で、パンの出来のブレが少ない、使いやすい小麦をお届けしたい。私たちは「食べる人の笑顔が見えるように。食べる人に心が届くように」をモットーに国産である安心感とともに、使い勝手の安心感を提供する小麦生産を目指しています。
栽培研究会のゆめかおりの生産実績は表1のとおりです。私たちの熱意を評価してくれた千葉製粉から「年間流通するためには1000tが必要です」と発破をかけられました。それ以来「将来目標1000tの生産量」を掲げ、土地の選定、肥培管理、品質管理に手間と時間をかけて、製パンに適する高タンパク・高収量のゆめかおりの生産拡大に真剣に向き合っています。(高橋)
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