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前述したゆめかおりの品種特性に加えて、私たちは製粉会社と直接取引するメリットとデメリットを享受しています。小麦のタンパク含有率を高めるためには、追肥や防除などの管理を徹底する負担が伴います。タンパク含有率が13~14%であれば高収入が得られる一方で、13%未満あるいは14.1%以上だと減額するリスクがあります。また、販売金額は製粉会社から直接支払われるので、農協出荷より約1年早く入金されます。
栽培研究会では発足当初から出荷業務をソメノグリーンファームに集約して行なっているため、栽培管理のほか、集荷・出荷に関わるルールも共有しています。
まず、玄麦のタンパク含有率を13~14%にするための生産努力を行なうこと。特に出穂期の草丈や葉色等を参考に追肥の適切な実施を徹底しています。規定の病害虫の対策を実施し、発生時には報告に基づき、対応を協議します。明記はしていませんが、年内に播種することは最低条件です。
畑での生産を原則としていますが、水田作の場合は、排水対策や追肥回数を増やすなど肥培管理の工夫を促しています。転作田での生産がこれから増えていくので、新たな共有ルールの策定の必要にも迫られています。また、ソバ混入の回避は食物アレルギー対策には必要不可欠で、過去の失敗例を踏まえてルール化しました。
生産量の増加に伴い、19年1月に出荷組織「茨城パン小麦販売有限責任事業組合」を立ち上げ、栽培研究会の生産者の小麦を製粉会社へ受託販売する体制になりました。各自で乾燥・調製をしてフレコンで出荷しますが、乾燥機ロットごとにタンパク含有率を測定します(写真7)。ソメノグリーンファームで集荷し、色彩選別、農産物検査、倉庫保管、燻蒸処理を行なった後、目標のタンパク含有率になるようにフレコンを組み合わせて、製粉会社へ出荷しています。(片岡)
【生産量増加に伴う課題】
生産量1000tが目標ですが、作付面積の増大に伴い、期待感より日々課題解決に追われる日々です。タンパク含有率が13~14%の一等比率は、メンバー間でばらつきがあります。栽培技術、土壌条件、水田か畑か、18軒あれば18通り以上の作り方があり、共通の栽培暦を作成するのになかなか苦労しています。
例えば、普及センターが対応してくれていた、追肥の基準に用いる出穂期の生育状況やSPADメーターを用いた葉色の全圃場調査がやりきれなくなりました。航空写真を利用して試行を重ねていますが、雑草の緑色に反応してしまい、実際には雑草だらけの圃場で追肥不要と判断されたこともありました。広域にわたるので航空写真の活用には費用もそれなりにかかります。また、栽培当初より元肥と2回の追肥でタンパク含有率を高める体系にこだわってきました。増産に伴い、元肥一発タイプや1回の追肥で長く効く肥料を試しているメンバーもいます。
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