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特集

茨城県産パン用小麦「ゆめかおり」が紡ぐ物語~情熱が人を動かし、商品が生まれ、消費者に~ 前編



21年産は栽培研究会のほかに民間流通麦としてもゆめかおりの生産が拡大しました。タンパク含有率が不安定な茨城県産ゆめかおりが流通することは望ましくありません。高品質のパン用小麦という栽培研究会のブランドを維持し、さらに知名度を上げる努力も求められています。
ところで、会長を務めている私はもともと農家ではないので、ゆめかおりの生産を始めた時点ではまだ右も左もわからないことだらけでした。東京出身の元保育士で、結婚と妻の出産を機に義父の農業の手伝いを始めたからです。機械の扱いを覚え、作物の生育や肥培管理に興味を持ち始めた時期に、義父に誘いのあったゆめかおり生産への挑戦を決めました。設立当初から栽培研究会では「農協に出せばいいや」という農業ではなく、栽培暦や機械、資材を統一しようという話は一切出ないのに、1軒1軒それぞれのやり方で高品質のゆめかおりを生産する先輩農家たちが面白く映りました。
設立時に会長を務めた方がゆめかおりの生産から離れるタイミングで会長職を任されましたが、染野社長をはじめ先輩方のプレッシャーを感じながら作物に向き合うようになりました。
染野社長は常々、茨城県産麦の価格が全国で最低レベルであることを憂いて「良い品質の麦を作っても、農協に出荷すれば同じ価格で扱われる。品質の良いものを作った生産者はもっと評価されるべきだ」と口にしてきました。農業者が自ら意識を変えなければ、その突破口は開けない。その信念のもと、米麦の普通作で面積を拡大しながら、乾田直播などの新しい技術体系に取り組み、輸出用米など販路の開拓にも積極的に挑戦することで、行動に移してきた人です。生産拡大に伴う課題にも向き合いながらも、栽培研究会の原点と理念を、ゆめかおりの生産、販売の体制が形作られてから新しく加わった仲間にも、30代なかばのまだ若手と言われる私たちから伝えていかなければなりません。高品質のゆめかおりを一緒に生産・出荷する仲間を今後も募っていきます。 (高橋)

仕掛人の視点 パン用小麦の生産者と一緒に夢を見て、応援したい

(株)リバティーフーズ
代表取締役社長
鳥山 雅庸さん

茨城で穫れた小麦を、茨城で挽いて、茨城で焼いて、茨城で販売する。「ぜんぶ、茨城」のパンを仕掛けたのは、茨城・栃木・福島のセブン-イレブンに「PBパン」を販売している(株)リバティーフーズ・代表取締役社長の鳥山雅庸さんだ。一度は諦めた国産小麦を使ったパンづくりを実現した背景と、人と人を結びつける縁結びの役を買って出て、茨城農業を応援する熱い想いを聞いた。

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