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山口亮子の中国のアグリテック最新事情

3分の1の価格で自動操舵の市場を席捲か 中国でシェアトップのFJDynamics

自動操舵の基本セットがメーカー希望小売価格で80万円(税別)。日本では250万円はするというこれまでの常識を覆すのが、中国発の農機メーカーFJDynamics(エフジェイダイナミクス)だ。

安さと明朗会計がウリ

「安価で分かりやすい価格体系。かつ作業の精度はトップクラス。現在購入いただいているお客様は、他社製品の取り付け実績がある方が多く、他社製品と比べてそん色がない、あるいはそれ以上との評価もいただいています。そのため、まだ使える他社製品を取り外して、FJDynamicsの製品を付けたいという人も出ています」
こう解説するのは、日本国内でFJDynamicsの総代理店を務める(株)FAG(東京都港区)代表取締役の木伏裕一氏だ。自動操舵といえば、トプコンとニコン・トリンブルが二大巨頭だ。トラクターなどの走行体に後付けすれば、農機を直進走行させられ、狙い通りの作業幅でムラなく作業できる。農機の操作が大幅に楽になるとあって、特に北海道を中心に導入が進んできた。
FJDynamicsは、FAGを通じて日本市場向けに2020年9月ごろから「FJD農機自動操舵システム」の販売を始めた。日本ではFAGや代理店が各地で実証の場を設け、農家向けに自動操舵を披露している。
現在は自動直進だけだが、今後のファームアップ(注:製品に組み込まれているソフトウェアのバージョンアップ)により旋回機能が付加される予定だ。操作の精度はプラスマイナス2.5cm。北海道に多い傾斜のある圃場でも、高い精度で作業が可能だという。
木伏氏が明朗会計を強調するように、取り付け費用は10万円~(税別)となっているので、初期費用は最低価格で90万円(税別)。しかも、年2回ほど行なわれるシステムのアップグレードは無料だ。FJDynamicsに年間の使用料を払う必要はない。
RTKを使うため、基地局のない地域では、携帯電話からテザリングするか、SIMカードを使ってインターネットに接続する必要がある。そのため、ランニングコストとして通信費がかかってくるが、格安SIMなどを使えば、月額を数百円から3000円台くらいに抑えられる。

中国の自動操舵市場でトップシェア

操作画面は日本語に対応しており、「使いやすいとUX(ユーザーエクスペリエンス、ユーザー体験)の面からも満足していただいている」と木伏氏。機器のトラブルがあり、代理店側での対処が不可能な高度なサポートが必要な場合は、遠隔操作でメーカーのエンジニアが直接対応するということが現実となっている。
深センに本拠を置き、中国の自動操舵の市場ですでに3割強というトップシェアを獲得した同社の創業は、わずかに2017年12月のことだ。ドローン最大手のDJIと中国自動車大手の東風汽車集団が出資し、設立されている。FJDynamicsの800人以上のメンバーのうち、7割以上が技術開発者で、平均年齢が29.1歳と若く、凄まじいスピードで製品を開発してきた。

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