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土門「辛」聞

「窒素肥料不足で世界食糧不足に」世界トップ窒素肥料メーカーの社長が爆弾発言

肥料価格が、海外で過去最高値をつけている。とくに窒素肥料の値上がりが著しい。需給バランスの崩れや、物流支障などで起きたものだが、近い将来、さらなる高騰が予想されている。原料となるアンモニアが、石油代替燃料として使われる方向が強まり、窒素肥料の生産が大幅に減少するからだ。
最悪の場合、開発途上国で食糧不足や飢饉を招きかねないという警告が早くも世界の肥料業界の中から出てきている。

Black Swansにより世界各地で肥料高騰

米国の農業専門メディア「ファーム・ジャーナル」ネット版(2021年9月10日付け)は、異常な肥料高騰の原因を伝えるのに、「肥料価格をつり上げるBlack Swans」という見出しを打ってきた。
Black Swanは、オーストラリアとニュージーランドに分布する、羽が黒く、くちばしが赤い大型の白鳥のこと。マーケットでBlack Swanという表現が使われるときは、「めったに起こらないが、発生すると市場に壊滅的な被害をもたらす事象」を指す。この局面では、ファーム・ジャーナルも指摘するように、「市場価格の上昇、自然災害、貿易・物流の混乱など」で引き起こされた記録的な価格高騰を表現するのに使われている。
その異常な高騰ぶりは、日本国内での肥料製品価格では実感できない。需給相場がストレートに反映する米国では、農業専門誌AG WEEKが、「(畑作用)液体尿素-硝酸アンモニウム肥料の1年前の価格は1tあたり120ドル。11月3日の時点では同552ドルとなり、過去最高を記録した」と伝えている。同月後半にはさらに3割程度値上がっている。
物流面のBlack Swansは、米国や中国で確認されている。8月29日、米国南部に上陸したハリケーン「アイダ」は、米国内の物流網をズタズタにした。そこへコロナの影響もあり製品の出荷遅れが長引いた。トラックやコンテナなどが不足に陥ったのだ。アンモニアをつくるのに必要な天然ガスが高騰したこともある。
中国のBlack Swansは、もっと複雑だ。電力不足から肥料製造に支障をきたしていることだ。10月4日付け電気新聞が「中国、電力不足が深刻化」と題して次のように報じている。

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