ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

コメ記者熊野のコメ市場情報

22年はコメ減らし政策から大転換すべき年になる

出来秋から値下がりが続いていた21年産米がようやく下げ止まり、新潟コシヒカリのように反発する産地銘柄も出始めた(11月下旬現在)。今後の21年産米の相場動向については、席上取引の現場に集まった米穀業者の間でも「先行きどうなるのか見当が付かない」という声が聞かれるほど読みが難しくなっている。生産者の不安は流通業者以上だ。
読みづらくしている要因としては、需給状況以上に価格に大きな影響を与える政策的な要因が大きく変わるのではないかという見方や、生産現場での離農が早いペースで進むなど生産構造の変化が起きていることも挙げられる。
何よりも本来1年先までの価格が分かるコメ先物市場が閉鎖に追い込まれ、22年6月末で取引停止になることは、コメの価格変動がかつてなく大きな変動が起きている現在、コメ業界にとって大変な痛手になっている。
コメ先物市場の復活は意外に早いと見ているので、そうした動きがあったときに触れたい。まずは直近の相場動向と、22年産米の生産がどう変化する可能性があるのかについて述べたい。

家庭用精米の売れ行き 売り棚確保が激戦に

21年産新米が出回り始めてから量販店のコメ売り場を見ると例年に比べいくつか変わったところがあった。一つは新米セールを謳った売り棚が少なく、出回り時期も遅かったこと。もちろん、例年通り宮崎コシヒカリや千葉ふさおとめなどの早期米を販売した量販店もあったが、定期的に量販店のコメ売り場のアイテム数や価格を調べているところでは、新米への切り替わりが遅いと見ている。実際、量販店に精米を卸しているあるコメ卸は、11月に入ってから「例年に比べ新米への切り替えが遅く、ようやく秋田あきたこまちの新米が売り棚に置かれるようになったばかりだ」と言っていた。
新米への切り替えが遅れた原因は、20年産米の在庫が多く残っていることにある。需給見通しによると、21年10月末の在庫数量は70万t(表参照)。近年で在庫が最も多かった15年10月末の52万tより18万tも多い。このためコメ卸は20年産米在庫処分を最優先しなければならなかったのである。

関連記事

powered by weblio