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特集

茨城県産パン用小麦「ゆめかおり」が紡ぐ物語~情熱が人を動かし、商品が生まれ、消費者に~ 後編


生産者の方々は、境町や坂東市の学校給食にゆめかおりが使われるようになって子どもたちが食べている姿を見たり、境サンドのパンに使われていることでパン用小麦を作っている実感がわいていたようでした。それが、誰もが知っているコンビニエンスストアで売られるとなったら、さらに自信や誇りを持ってくださると思っていたので、皆さんのガッツポーズが見られるなと思いました。
伊藤 20年のセブン-イレブンでの発売が決まったときに、染野さんから電話をいただいたんですよ。ゆめかおりの話になると染野さんの声のトーンが上がりますよね。

【会の方針は「何でも良さそうならやってみる」】

――さて、栽培指導等の現場でも進展はありましたか?
油谷 伊藤さんから引き継いで全圃場調査を何の疑問も持たずにやっていましたが、圃場数が増えると追いつかなくなってきました。生産者側も同じで、追肥の目安となる生育調査の結果を圃場番号の数字と一緒に紙ベースで渡しても、どこの圃場で葉色が薄いのか、圃場の位置関係を把握しきれなかったんです。企業の協力を得て、デジタルマップ化する実証試験をしました。感触は良かったのですが、導入コストが高く、継続利用は見送りました。いまでは、普及員がSPADメーターを持って何百圃場も計測して回るのに代わって、衛星画像から生育ムラを判断する取り組みを始めています。
もう一つ人力でやっていた作業を自動化したのは、出荷時のフレコンの組み合わせ計算です。10~30tずつの出荷ロットを平均的なタンパク含有率に揃えていますが、どのフレコンを組み合わせたら良いのかを、伊藤さんの頃から普及員がサポートしながら1日がかりで、手計算でやっていました。フレコンが400個以上になるとお手上げでした。
伊藤 最初に緻密な計算をしても、倉庫の奥に入っていて取り出せないと、荷積みは時間との戦いなので、手前からとにかく積んで、当初の計算からズレてしまうこともありました。
油谷 そうすると、また計算し直しになり、悲惨なんですよ。ようやく解決できそうなシステムエンジニアさんを見つけて、計算ソフトを作っていただいたら、計算は1秒で終わるようになりました!
坂井 ソフトを作る前に染野さんに「人に任せていいですか?」と相談されたそうですね。「この計算が辛すぎて」と弱音を吐いた油谷さんを初めて見たとおっしゃっていました。
――普及員さんが長年手伝ってきた作業を栽培研究会に引き継ぐ方向はあるのでしょうか?

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